賑やかさが絶えない中国のサッカー業界に9日、また一つのビッグニュースが飛び込んだ。アリパパは、国際サッカー連盟(FIFA)クラブワールドカップの冠スポンサー契約を締結すると発表した。中国企業が世界トップ試合の冠スポンサーにつくのはこれが初めて。また、FIFA主催の試合が中国の企業名を冠するのも初めてだ。
クラブワールドカップはこれまで、“トヨタ杯”と呼ばれていた。世界サッカー殿堂でクラブワールドカップの地位は言うまでもない。ある意味、トヨダ自動車は世界スポーツ業界で日本企業を代表する存在とも言える。偶然にも、FIFAと冠スポンサー契約を結んだのは、アリババ傘下で「インターネット自動車」事業を展開するアリババE・オート社だ。クラブワールドカップの正式名称は今後、“アリババE・オート”になる。E・オートはアリババグループが上海汽車集団股フェン有限公司と提携するインターネット自動車ブランドで、2016年に市場への投入を目指している。
アリババ・スポーツグループの張大鍾CEO(最高経営責任者)は、「中国のインターネット企業が長い伝統を誇る日本の自動車企業に代わって、世界トップレベルのサッカー試合のスポンサーになった。国際舞台で中国のインターネット企業の地位がますます向上していることを意味する」と語った。
アリババ・スポーツが「IP」をキーワードに事業拡大を図る戦略も、その方向性が顕著になりつつある。張CEOはこれまでの取材に対し、アリババ・スポーツは「事業の中核がIP」であることを複数回にわたって言及してきた。「今のところ、メディア放送権をめぐる非理性的な争奪戦に加わる予定はない」ことも明言。IPは「Intellectual Property」の略語で、その意味は「知的財産」。映画・テレビ業界においても、スポーツ業界においても、「IP]が一つのキーワードになっている。
アリババ・スポーツはまた、クラブワールドカップの提携方式について、「パシフィック12カンファレンス(通称Pac-12)に近い形式になる」と表明。これまでの発表によれば、11月の全米大学体育協会(NCAA)Pac-12バスケットボール大会は中国・上海で行われる予定で、今年はワシントン大学とテキサス大学、来年はスタンフォード大学とハーバード大学が対戦する。
こうしたケースを踏まえ、FIFAと冠スポンサー契約を結んでいる8年の間に、クラブワールドカップが中国で開催されることも現実味を浴びる。
また、スポーツ分野に注力するアリババは、その提携が単なる試合にとどまらない。サッカー選手のロナルドや、中国ボクシング協会との提携もその一例だ。今回のFIFAとのスポンサー契約にともない打ち出される「デリバティブ商品」にも注目が集まる。観光、ビジネス開発、サッカー関連、「天猫(tmall)」クラブワールドカップ専門店--。いずれも可能性を秘めている。
「朝日産業」の中国スポーツ産業にとって、これほどの資金力が動いたことは過去に例がない。スタートを切ったばかりの中国のスポーツ産業は、黄金発展期のスタート地点を迎えている。
(チャイナネット)
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