【新華社北京12月22日】中国信息通信研究院はこのほど発表した「中国第5世代移動通信システム(5G)発展・経済社会影響白書」で、中国で5Gが直接けん引した生産額は今年、8109億元(1元=約16円)に上ったとの見方を示した。中国では通信網の整備で5G応用の堅固な土台ができ、経済社会の発展に対する5Gの影響力が出始めている。
先端デジタル技術のイノベーションは経済社会をけん引する重要な役割を果たしている。数々の先端デジタル技術の中でも5Gが持つ意義は大きい。商用化から1年余りで中国では70万カ所を超える基地局が開通。特に今年は基幹網の整備に加え、感染症も追い風になり、5Gと各産業との融合が進んでいる。
中国インターネット検索大手、百度(バイドゥ)の王海峰(おう・かいほう)最高技術責任者(CTO)は、同社が17日北京で開いた「ABCサミット2020」で、百度スマートクラウドのアクティブユーザー数は今年、前年比で65%増え、同社のデジタル能力は建設や製造など複数の分野へと急速に広がっていると指摘した。
5Gはクラウドと通信網の融合を促し、経済社会は「クラウド時代」へと突入している。テレワークや遠隔教育、スマート製造などでクラウドの利用は急速に普及している。
白書によると、5Gにはスマートシティーやスマート鉱山などの代表的な応用方式があり、産業の高度化を促進している。5Gはまた新たな雇用も創出しており、労働力市場の低技術ポストを高技術ポストへと移行させている。
その一方、5G通信網はまだ中国全体をカバーするには至らず、業界の応用を支えるためには技術のさらなる成熟が求められ、裾野産業は創生期にとどまっているという課題も指摘している。
中国信息通信研究院の劉多(りゅう・た)院長は5G産業の発展について、向こう2~3年で正念場を迎えるとし、5Gの消費面での革新的応用は2022~23年に大きく増えて、産業面での応用は導入期にとどまり、商用化は段階的に進むとの見方を示した。
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