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翁長雄志:日本沖縄米軍基地反対運動の精神的リーダー 最後の抵抗
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-08-03 21:45:10 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社東京8月3日】日本沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する現地市民団体は7月31日、同県の翁長雄志知事が8月11日の抗議集会に参加すると発表した。翁長氏はこれに先立つ7月27日に、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明したばかりだ。

 翁長氏は沖縄の米軍基地に反対する人々の精神的リーダーだ。だがこの反基地運動のリーダーの戦いは恐らく最後の山場に差し掛かっている。現地世論は、膵(すい)臓がんの手術を受けたばかりで今年12月に知事の任期が満了する翁長氏にとって、辺野古の埋め立て承認撤回は「最後の一撃」になるかもしれないとみている。

 

 ▽基地反対は揺るがない

 辺野古は日米両国政府が決定した沖縄駐留米軍の普天間基地移設予定地だ。宜野湾市の普天間基地は市街地にあり、現地住民に騒音の問題や重大な安全上のリスクをもたらすため常に強い非難を浴びている。しかし同基地の移設計画に対し、沖縄県民は強く反対した。沖縄からの完全撤去を求めているのだ。

 辺野古新基地建設反対を主張する翁長氏は2014年11月沖縄県知事に当選した。翁長氏は知事就任後、前知事の辺野古沿岸部の埋め立てと米軍新基地建設の承認は法的な瑕疵(かし)があるとして承認の取り消しを表明した。基地建設中止を叫び、選挙公約を貫く姿勢は各界の支持を集め、同氏を反基地陣営のリーダーへと押し上げた。

 沖縄県が今年7月17日に、防衛省の沖縄防衛局に提出した文書は、辺野古付近の海域の一部地盤が軟弱であると警告し、同局が環境保全対策を行っていないと指摘。現在の工事を即時停止するよう要求した。同局は県の警告を聞き入れなかったため、翁長氏は27日、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明した。

 今年2月に行われた沖縄県知事選挙の「前哨戦」といわれる名護市長選では、翁長氏が支持する反基地陣営の候補者は政府の支持する候補者に敗れ、反基地運動は深刻な打撃を被った。

 専門家は、基地建設が継続して進められたことで民衆に「現実を受け入れる」という気持ちが広がり、反基地陣営内部で食い違いが増えただけでなく、埋め立て工事が一旦開始されると形勢を覆し難いため、翁長氏ら反基地陣営にとって、今の時期に埋め立て承認を撤回することは最後の抵抗手段となり得ると指摘。この「奥の手」は反基地勢力の態勢立て直しを助け、不利な局面下での今後の一連の選挙に際し「優勢に転じる」きっかけとなる可能性がある。

 

 ▽「最も戦いにくい相手」

 翁長氏は1950年生まれ、沖縄県那覇市出身で同市長を14年務めた。2014年に市長を辞職し、政府与党の自民党を離党して沖縄県知事選挙に立候補、再任を目指した仲井真弘多前知事を10万票近い大差で破り当選した。翁長氏が選挙民の支持を得た主な理由は、普天間から辺野古への移転問題だけに留まらず、在日米軍基地の沖縄からの完全撤去を明確に主張したことにある。

 沖縄の米軍基地問題は非常に複雑で、背後に深刻な歴史的要因と日米同盟への戦略的配慮があり、沖縄と本土間の政治の駆け引き、民意の違い、長期の積怨がある。現在、大部分の在日米軍基地は依然として沖縄に集中している。

 今年4月に、膵臓がんの発見と手術、その後の治療について公表してから、翁長氏は公の場にあまり姿を見せなくなっている。翁長氏は6月のある式典であいさつした際、米軍基地移転問題について日本政府への批判を展開し「われわれは民意を顧みない辺野古新基地建設の強行を決して許さない。沖縄の負担を軽くするという政府の約束に反するだけでなく、アジア(朝鮮半島)の緊張緩和の流れにも逆行している」と述べた。

 11月の県知事選は反基地陣営にとって「背水の陣」で挑む戦いとなる。翁長氏は、がんのリハビリ中であるが、ある日本メディアは、再任を目指すと語ったと伝えた。反基地陣営は翁長氏の立候補について、健康状態を懸念しながらも、非常に期待している。自民党関係者は「翁長氏が最も戦いにくい相手」であるとし、翁長氏の立候補により辺野古基地問題が再び知事選の最大の争点になることを自民党は最も恐れていると率直に示した。

 翁長氏は「辺野古に新基地を造らせないという決意は県民とともにあり、将来も決して揺らぐことはない」と述べ「米軍基地問題は沖縄だけの問題ではなく、日本全体の安全保障の問題で、日本国民全体で負担すべきものだ。すべての日本人に沖縄米軍基地の現状や日米安全保障体制のあり方について真摯に考えてほしい」と語った。

 

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翁長雄志:日本沖縄米軍基地反対運動の精神的リーダー 最後の抵抗

新華網日本語 2018-08-03 21:45:10

  【新華社東京8月3日】日本沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する現地市民団体は7月31日、同県の翁長雄志知事が8月11日の抗議集会に参加すると発表した。翁長氏はこれに先立つ7月27日に、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明したばかりだ。

 翁長氏は沖縄の米軍基地に反対する人々の精神的リーダーだ。だがこの反基地運動のリーダーの戦いは恐らく最後の山場に差し掛かっている。現地世論は、膵(すい)臓がんの手術を受けたばかりで今年12月に知事の任期が満了する翁長氏にとって、辺野古の埋め立て承認撤回は「最後の一撃」になるかもしれないとみている。

 

 ▽基地反対は揺るがない

 辺野古は日米両国政府が決定した沖縄駐留米軍の普天間基地移設予定地だ。宜野湾市の普天間基地は市街地にあり、現地住民に騒音の問題や重大な安全上のリスクをもたらすため常に強い非難を浴びている。しかし同基地の移設計画に対し、沖縄県民は強く反対した。沖縄からの完全撤去を求めているのだ。

 辺野古新基地建設反対を主張する翁長氏は2014年11月沖縄県知事に当選した。翁長氏は知事就任後、前知事の辺野古沿岸部の埋め立てと米軍新基地建設の承認は法的な瑕疵(かし)があるとして承認の取り消しを表明した。基地建設中止を叫び、選挙公約を貫く姿勢は各界の支持を集め、同氏を反基地陣営のリーダーへと押し上げた。

 沖縄県が今年7月17日に、防衛省の沖縄防衛局に提出した文書は、辺野古付近の海域の一部地盤が軟弱であると警告し、同局が環境保全対策を行っていないと指摘。現在の工事を即時停止するよう要求した。同局は県の警告を聞き入れなかったため、翁長氏は27日、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明した。

 今年2月に行われた沖縄県知事選挙の「前哨戦」といわれる名護市長選では、翁長氏が支持する反基地陣営の候補者は政府の支持する候補者に敗れ、反基地運動は深刻な打撃を被った。

 専門家は、基地建設が継続して進められたことで民衆に「現実を受け入れる」という気持ちが広がり、反基地陣営内部で食い違いが増えただけでなく、埋め立て工事が一旦開始されると形勢を覆し難いため、翁長氏ら反基地陣営にとって、今の時期に埋め立て承認を撤回することは最後の抵抗手段となり得ると指摘。この「奥の手」は反基地勢力の態勢立て直しを助け、不利な局面下での今後の一連の選挙に際し「優勢に転じる」きっかけとなる可能性がある。

 

 ▽「最も戦いにくい相手」

 翁長氏は1950年生まれ、沖縄県那覇市出身で同市長を14年務めた。2014年に市長を辞職し、政府与党の自民党を離党して沖縄県知事選挙に立候補、再任を目指した仲井真弘多前知事を10万票近い大差で破り当選した。翁長氏が選挙民の支持を得た主な理由は、普天間から辺野古への移転問題だけに留まらず、在日米軍基地の沖縄からの完全撤去を明確に主張したことにある。

 沖縄の米軍基地問題は非常に複雑で、背後に深刻な歴史的要因と日米同盟への戦略的配慮があり、沖縄と本土間の政治の駆け引き、民意の違い、長期の積怨がある。現在、大部分の在日米軍基地は依然として沖縄に集中している。

 今年4月に、膵臓がんの発見と手術、その後の治療について公表してから、翁長氏は公の場にあまり姿を見せなくなっている。翁長氏は6月のある式典であいさつした際、米軍基地移転問題について日本政府への批判を展開し「われわれは民意を顧みない辺野古新基地建設の強行を決して許さない。沖縄の負担を軽くするという政府の約束に反するだけでなく、アジア(朝鮮半島)の緊張緩和の流れにも逆行している」と述べた。

 11月の県知事選は反基地陣営にとって「背水の陣」で挑む戦いとなる。翁長氏は、がんのリハビリ中であるが、ある日本メディアは、再任を目指すと語ったと伝えた。反基地陣営は翁長氏の立候補について、健康状態を懸念しながらも、非常に期待している。自民党関係者は「翁長氏が最も戦いにくい相手」であるとし、翁長氏の立候補により辺野古基地問題が再び知事選の最大の争点になることを自民党は最も恐れていると率直に示した。

 翁長氏は「辺野古に新基地を造らせないという決意は県民とともにあり、将来も決して揺らぐことはない」と述べ「米軍基地問題は沖縄だけの問題ではなく、日本全体の安全保障の問題で、日本国民全体で負担すべきものだ。すべての日本人に沖縄米軍基地の現状や日米安全保障体制のあり方について真摯に考えてほしい」と語った。

 

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