【新華社岡山県7月12日】川には倒木が漂着し、道端には横転した車が残り、民家もひどく壊れ、道路、家屋、車両は厚い泥に覆われている。西日本を襲った今回の豪雨で最も被害を受けた地域の一つ、岡山県。洪水の跡が至る所ではっきりと見られた。
数日続いた豪雨により、日本各地で洪水や土砂崩れなどの災害が発生し、11日午前時点で168人が死亡した。記者が河川の氾濫により大規模な洪水が起きた同県倉敷市真備町に入った10日時点、水はすでに引き、見渡す限りの傷跡が残されていた。
連日の豪雨で市内の河川の水位が急激に上昇し、小田川の堤防が広範囲にわたって決壊、真備町の多くの家屋が倒壊した。浸水の深さは最大で4・8メートルに達した。この豪雨により岡山県で50人余りが死亡、その大半は真備町周辺で亡くなった。
現地の鉄道は洪水の影響で一部区間が不通となっているため、途中でタクシーに乗り換え現地入りした。地元のタクシー運転手の松本さんによると、小田川の本流である高粱川の水位はここ2日間と比べると大きく下がったという。予報では今後数日は晴れが続く。川沿いや川の中央には流れ着いた倒木が残り、道端には横転した車が点在し、多くの道路が陥没などのため通行止めになっていた。
道すがら、行き来する救急車や消防車、自衛隊のトラックなどが行き交い、道端のテントでは救助隊員が捜索救助計画を検討していた。豪雨の影響を受け、岡山県を含む日本全国で50人以上の行方がまだ分かっていない。消防隊員によると、行方不明者の捜索は夜を徹して続けられ、堤防の修復も急ピッチで行われているという。
真備町の被害が深刻な地域では、水は完全に引いたものの、道路、家屋、車両などが厚い泥で覆われている。地元の大型スーパーマーケットでは、多くの従業員が酷暑の中、汗だくになりながら、泥だらけの商品棚を屋外に運び出していた。また、現場では多くのショベルカーやトラックが撤去作業に使われていた。
同スーパーの人事部の小笠原さんによると、災害が最も深刻な時には、洪水が店の2階まで押し寄せて、従業員は屋上に駆け上って避難し、難を逃れた。店内の商品のほとんどが浸水し、同店の経済的損失の算出は現時点では困難だという。別の従業員は、同スーパーがこの一帯で展開する5店舗が大雨と洪水により、多大な損失を被ったと話した。
真備町の一部家屋は大きく壊れ、変形し、ドアや窓のガラスはこなごなに砕け、外に押し流されて木に引っ掛かっている家具も少なくない。被災した住民は水に浸かった家具などを屋外に積み上げて、家の掃除を始めていた。地元住民の椎野さんは、大雨が降ってもこれまでは水深が膝の高さを超えることはなかったが、今回の洪水は自宅の2階を超えた。ここで77年間生活しているが、こんなすさまじい洪水は初めてだと話した。
現地は10日時点、広範囲で断水やインターネットに接続できない状況が続いており、携帯電話の電波も不安定だ。椎野さんによると、自宅の水道は復旧したが、濁っていて飲むことはできない。椎野さん家族は日中自宅に戻って家の中に堆積した土砂を片づけ、夜には近くに住む親戚宅に泊っているという。「家族数人だけで掃除をしているので、数週間ばかりか1〜2カ月しても復旧は難しい。この段階では家に戻ろうとは思えない。ただ一歩一歩やるしかない」と椎野さんは力なく話した。
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