【新華社南京5月29日】2018南京城壁保護・利用国際フォーラムが26、27の両日、中国江蘇省南京市で開かれた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)および英国、フランス、ロシア、韓国、中国などから60人以上の専門家が参加した。25日から28日まで同市で開催されている第8回南京歴史文化都市博覧会の重要イベントとして、今回のフォーラムでは国際的な専門家を招き、南京市を筆頭に国内14都市が進めている「中国明清(明と清の時代)城壁」の世界遺産登録申請でさまざまな意見を求めた。
1366年に建設が開始された南京城壁は652年の歴史を持つ。全長は35・267キロで、25・091キロが現存する。世界に現存する都市城壁の中では最も長く、規模が最も大きく、保存状態が最も良い城壁として知られている。明から清の時代にかけ全国では2千以上の城(城郭都市)が建設されたが、現在まで残っているものは1%にも満たない。南京城壁は山に依り水に面した形で建設され、中国古代の礼教(礼儀と道徳)制度と自然の融合を示す見本となっている。南京は14世紀中後期の都市建設の集大成であり、同市のシンボルだけでなく、中国と世界の文化の宝でもある。
「中国明清城壁」の世界遺産申請書類を編纂した南京大学歴史学院の賀雲翱教授はフォーラムで、「中国明清城壁」の申請は2006年の南京、西安、荊州、興城の4都市による合同登録申請から始まり、2009年に襄陽、台州、寿県、鳳陽が国家文物局により遺産登録申請予備リストに追加され、宣化、正定、長汀、開封、肇慶、歙県が現在加入を申請していることから、遺産登録申請は「8+6」の形となったと説明。申請都市の増加は単なる「セット式」の登録申請ではなく、社会全体が文化遺産をますます大切にし、地方政府がますます遺産保護を重視し、人々は遺産としての城壁にますます注目した結果だと語った。
ICOMOSの保護理論・哲学委員会、歴史的都市・村落委員会のGiora Solar執行委員は、古代の防御施設としての城壁は近代になって都市の拡大を阻んだため、多くの都市で取り壊されたが、現在は文化遺産として、一つの都市が持続可能な発展をするためのリソースとなりつつあると指摘、南京城壁がどの程度人々の生活の中に溶け込み、都市の景観の一部となり、人々の居住環境を改善するとともに観光資源ともなり、最終的に一つの都市のトレードマーク、南京市民の気持ちのよりどころとなっているかが、保護利用と遺産登録申請での大きな課題だとの見方を示した。
清華大学建築学院の張傑教授は「南京城は明の時代、100万人が生活し、面積は40平方キロだった。南京の現在の人口は800万を超え、面積も1100平方キロを超えている。私たちは都市機能や社会構造、経済環境の変化が城壁のような歴史景観にもたらす影響に注目し、城壁の保護を社会発展という大きな構造の中に組み込まなければならない」と語った。
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