【新華社東京4月10日】キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹はボアオ・アジアフォーラム2018年年次総会開幕の直前に、新華社の単独インタビューに応じ、中国による「一帯一路」建設は関係する国や地域、さらに世界全体の経済発展をリードし、推し進めることができると述べ、日本は積極的にこれに参加し、協力を通じウィンウィンを実現すべきとの考えを示した。
瀬口氏は、イノベーションが自由貿易体制の活力を維持するうえで大きな意味を持つとの認識を示した。中国はすでに世界の発展をリードする存在であり、中国企業はマーケティングやグローバル戦略経営、活用型イノベーションで非常に優れた能力を持っている。一方で日本企業は基礎型イノベーション分野では一定の実力を備えているものの、活用型イノベーション能力は低いと指摘、両国企業には協力できる部分が多くあり、互いの長所で短所を補うことで、ウィンウィンを実現できるとの見方を示した。
瀬口氏によれば、中国が提唱する「一帯一路」構想は中国の未来の安定的な発展にとって重要な基盤になるだけでなく、関係する国や地域のインフラ建設にも貢献し、地域全体の経済発展を推し進めるという。また「一帯一路」建設は中長期的な自由貿易体制の維持、世界経済発展のリードなどの面においても重要な役割を果たすことが見込まれ、日本は積極的に「一帯一路」に参加するとともにアジアインフラ投資銀行(AIIB)に速やかに参加し、金融面から「一帯一路」建設をサポートすべきと指摘した。
今年は中国の改革開放40周年にあたるが、瀬口氏はこの40年の中国の発展を「比類なき奇跡」と形容する。瀬口氏は、中国はすでに世界第2の経済大国であり、改革開放では人類史上類を見ない大きな成果を上げ、世界経済の発展にも非常に大きな貢献を果たしたと語った。改革を今後深めていくための措置については「中国は改革開放という大きな方向性からぶれることなく、この理念を徹底して実行していくべき」との見方を示した。
経済がグローバル化していくなかで、アジアが担う役割はますます重要になっている。瀬口氏は、アジア経済圏は2010年以降、欧米を振り切り、世界経済成長のトップランナーになりつつあると語り、アジア各国が協力関係を強化し、互いの発展経験の共有し、世界をより素晴らしいものに変えていくべきとの見解を示した。なかでも、日本や中国など地域の大国の役割はとりわけ重要であり、積極的に提携を強めるとともに地域全体の発展をリードし、アジアが世界経済の新たな原動力となるよう手助けしていくべきと述べた。
現在の反グローバル化の流れについて瀬口氏は、中国などの国が推し進める経済一体化や貿易自由化を阻害することになると指摘し、その動きを止めなければならないとの認識を示した。保護貿易主義の考えが欧米で蔓延しつつある今こそ、中国など国は自由貿易の旗幟を高く掲げ、アジア経済のさらなる発展の実現をリードし、実際の行動をもって世界にグローバル化の強みを示すことが大切であるとの考えを示し、それにより新たなグローバル化のプロセスを始動し、加速させることができると語った。(記者/王可佳 鄧敏)
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