【新華社ラスベガス1月10日】世界最大級の家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が9日、米国ラスベガスで開幕した。150以上の国や地域から約4千の企業が参加し、様々な新商品を展示する同見本市は、長らく国際的なコンシューマー・エレクトロニクス分野における「羅針盤」と位置付けられている。今年の見どころは、第5世代移動通信システム(5G)、伝統産業のデジタル化、8Kテレビの3つだ。
一、5Gがもたらす新業態
5Gが業界全体をどう変えるのか、これは間違いなく2018年のホットトピックのひとつだ。データ通信速度のボトルネックが解決すると、健康、教育、スポーツなどの分野で新たに広く応用される可能性がある。
CESの主催団体、全米民生技術協会のシニアディレクター、スティーブ・コーニグ氏は「5Gは、非常にスムーズで、データの確実なリアルタイム通信を可能にするため、電気通信や自動車、健康など多くの業界のありかたを変えていくだろう」と語る。
昨年は5G技術を紹介する企業は数社だけだったが、今年は5Gのテスト商用の兆しが見えた。米国大手通信会社、AT&Tコーポレーションは4日、展示会に先駆け、2018年末には複数の都市で5Gサービスの提供を開始すると発表した。
今年の展示会では、クアルコムやノキア、エリクソンなどの企業が5G技術を展示しているが、展示会参加企業の多くは同技術をメインテーマとしていない。だが、データ通信速度は、モノのインターネットや自動運転、バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(AR)、人工知能(AI)技術が市場へ向かうための基礎である。
5Gネットワークには、様々な利点がある。例えば、速度が速く、人口密度が高いエリアでも安定した通信が行えるだけでなく、通話時のタイムラグは1000分の1秒とも言われている。そして重要な潜在力として帯域幅が広いことが挙げられ、様々な設備の相互接続をカバーできることから、これまで概念のみに留まっていた技術の応用が実現し、大衆化できる可能性を秘めている。
全米民生技術協会のゲイリー・シャピロ会長は「5Gは革新的影響力があり、スマートホームから小型無人機、ロボット、自動運転、スマートシティーに至るまで、CESで展示されている全ての技術のイノベーション速度を加速させるだろう」と期待する。
二、伝統産業のデジタル化
今年のCESの議事日程から分かるのは、一部の伝統産業がデジタル化への転換を速め、市場に投入可能なレベルに到達している商品を展開しており、デジタル時代への一層の適応が期待されていることだ。
MemoMiという会社では、「メモリーミラー」という商品を展開。AIとAR技術を用い、消費者が実際に試着しなくても、鏡をのぞき込むことで、服の試着や化粧品や装飾品の使用感を見て確認できるという代物だ。シリコンバレーに拠点を置く同社は、すでにさまざまな企業やブランドと提携を果たしている。オンラインショップのプラットフォームであるAmazonも、オンラインショッピングに伴う返品率の高さを解消するため、「混合現実ミラー」という似た商品を紹介している。
また今年は、スマート搾乳器をはじめ妊婦や乳幼児を持つ母親向けの商品も多数展示されている。
各エリアに分けられた展示スペースでは、玩具やスポーツ関係、メイク、家具などの伝統産業商品が「スマート化」を速めており、ターゲット消費者に対する分類もより明白となってきている。
三、8Kテレビ登場
今年のCESにおけるもうひとつの見どころは8Kテレビだ。8Kテレビとは、水平解像度が8千画素レベルに到達しているスーパーハイビジョンテレビで、通常の解像度は7680×4320。4Kテレビも普及していないが、一部の企業では、8Kテレビの市場登場をささやき始め、韓国の大手家電・電子通信メーカーのLGは、88インチの有機発光ダイオード(OLED)の8Kテレビを発表した。
昨年末、中国の京東方科技集団股分有限公司は8Kの解像度を持つ液晶の生産ラインを始動し、現在までに65インチ以上の8Kパネルの量産化生産に成功している。しかし、8Kの産業チェーンの前半に位置する番組の制作や編集設備、コーデック標準はソニーやパナソニックなどの日本企業に独占されているため、中国企業の遅れが見て取れる。
しかし、中国企業は今年もCESに意欲的に参加、その数は展示会参加企業総数の3分の1を占める。ファーウェイやZTE、百度(バイドゥ)、アリババ、海信(ハイセンス)、TCL、科大訊飛(iFlytek)などの中国企業は、自動運転やAI、ハイビジョンテレビなどの技術を展示。うちTCLの85インチ量子ドット発光ダイオード(QLED)のモニターが、高品質家庭用オーディオ・ビデオ類の2018年CESイノベーション賞を受賞した。(記者/周舟)
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