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米政策の不確定性が日系企業の懸念を増大させる
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2017-02-23 13:48:46 | 人民網日本語版 | 編集: 郭丹

   米国のトランプ大統領が1月20日に就任してから1カ月が経った。この間、大統領は大なたを振るって改革を進め、約20の大統領令に署名し、その内容は移民、インフラ建設、行政管理、金融規制緩和、税制簡素化などさまざまだ。こうした政策に対し、各国は米国の今後の政策や影響の不確定性を深刻に受け止め、日系企業は方針を決めかねている。「経済参考報」が伝えた。

   トランプ大統領はこのほどフロリダ州で支持者集会を開き、トランプ氏ならではのスタイルで「満1カ月」を祝った。世論調査によると、大統領の就任1カ月目の支持率は40%で、新任の大統領の就任1カ月目の支持率としては過去最低を更新し、オバマ前大統領の64%にはるかに及ばなかった。

   政権発足からの1カ月間、トランプ大統領は新しい政策を次々に打ち出した。就任からわずか数時間で初めて署名したのは、医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃に向けた大統領令で、同法によって生じる可能性のある財政負担を最大限に削減するとした。この1週間前、米議会は上院、下院ともに圧倒的な大差でオバマケア撤廃に向けた予算決議案を可決している。

   その3日後、トランプ大統領は今後は環太平洋経済連携協定(TPP)から永久に離脱するとした大統領に署名し、これによって米国の貿易政策を「新たなステージ」に引き上げる考えを示した。また税制度に関して、「規制に関する法規が大幅に削減され、税負担が大きく減少する」と述べたほか、「米国国外に工場を移転させる企業には重い『国境税』を課す」と強調した。

   1月24日には、カナダから米国に石油を輸送するパイプラインのプロジェクト再開を決定。これはオバマ大統領が環境保護の観点から建設を中止していたものだ。その翌日にも大統領令に署名し、メキシコとの国境に長さ約2千マイル(約3200キロメートル)の壁を建設するとしたほか、不法移民を保護する州や都市(サンクチュアリーシティ)への補助金を削減するとし、移民を制限して国の安全性を向上させたい考えを示した。大統領令を受けてメキシコの通貨ペソは大混乱に陥った。

   2月になると、トランプ大統領はこれまで災難だと批判してきた金融規制改革法「ドッド フランク法」の見直し方針を示し、金融規制緩和の動きが始まった。その数日前には、驚異的な税制プランを制定中で、税制を大幅に簡素化する方針であることを明らかにし、選挙中の公約を実現しようとする姿勢をアピールした。

   以上のような正式に署名した大統領令や覚書だけではない。トランプ大統領は米国で工場を建設し、雇用を増やすよう、各国に絶えず圧力をかけている。「米国を再び偉大にする」との政策を受けて、各国は米国の今後の政策や影響の不確定性を深刻に受け止め、日系企業は方針を決めかねている。

   ロイター社がまとめた最新の調査結果によると、トランプ大統領の政策の不確定性は企業の対米投資への懸念を著しく増大させている、日系企業の3分の1は次年度には日本国内事業への投資を増やす計画だが、米国事業への投資を増やすことについては消極的という。

   ロイター社のこの企業を対象とした調査では、回答企業の33%が日本国内での資本的支出を増やすことを検討中とし、57%は前年度並みの投資水準を維持すると答えた。これは17年の日本経済の持続的回復の実現を予感させるプラスの現象だといえる。みずほ総合研究所調査本部経済調査部の徳田秀信主任エコノミストは、「海外需要の低迷で、日本の製造業関係者はこれまで資本的支出に様子見の態度を取ってきたが、彼らの立ち位置が徐々に変わりつつある」との見方を示す。調査で米国でのビジネス計画があると答えた企業のうち、「米国の需要は今後1~2年は拡大する。トランプ大統領の政策により雇用が生まれ消費支出が促進される」との見方を示したところは半数をやや上回る程度だった。27%が「米国の需要は横ばい」と答え、残りは「需要は縮小する」と答えた。

   調査によると、日系企業の多くが17年度の対米投資には引き続き様子見の態度を示した。化学工業メーカーのマネージャーは、「米国が何をしようとしているのかよくわからないから」と述べ、他の回答者も基本的に同じ態度を取り、「状況をみているところ」と答えた。企業は85%が、「企業として米国での関連事業に対する立場に変化はない」と答えた。

   徳田エコノミストは、「日本企業は2方面の要因を検討中で、1つは国境税の徴収や関税の引き上げといったマイナス要因、もう1つは規制緩和や減税といったプラス要因だ。こうした要因はいずれも、今は先がはっきり見通せない」と話す。

   報道によると、2月初めに日本の安倍晋三首相がトランプ大統領と会談する前、一部の日系企業のトップが、「日本の政府筋から企業に要請があり、対米投資を増やすよう求められた」ことを明らかにした。公共事業機関は、「安倍首相は企業の力をよりどころにして、米国の高速鉄道建設などのインフラプロジェクトに数百億ドル(1ドルは約113.5円)を投資する約束をしようとしている」と指摘。政府の圧力を受けて、シャープは米国に液晶パネル工場を新たに建設し、年内の着工、20年の稼働を目指す計画を打ち出した。総投資額は当初計画の8千億円をベースに調整するという。

 

(人民網日本語版)

 

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米政策の不確定性が日系企業の懸念を増大させる

新華網日本語 2017-02-23 13:48:46

   米国のトランプ大統領が1月20日に就任してから1カ月が経った。この間、大統領は大なたを振るって改革を進め、約20の大統領令に署名し、その内容は移民、インフラ建設、行政管理、金融規制緩和、税制簡素化などさまざまだ。こうした政策に対し、各国は米国の今後の政策や影響の不確定性を深刻に受け止め、日系企業は方針を決めかねている。「経済参考報」が伝えた。

   トランプ大統領はこのほどフロリダ州で支持者集会を開き、トランプ氏ならではのスタイルで「満1カ月」を祝った。世論調査によると、大統領の就任1カ月目の支持率は40%で、新任の大統領の就任1カ月目の支持率としては過去最低を更新し、オバマ前大統領の64%にはるかに及ばなかった。

   政権発足からの1カ月間、トランプ大統領は新しい政策を次々に打ち出した。就任からわずか数時間で初めて署名したのは、医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃に向けた大統領令で、同法によって生じる可能性のある財政負担を最大限に削減するとした。この1週間前、米議会は上院、下院ともに圧倒的な大差でオバマケア撤廃に向けた予算決議案を可決している。

   その3日後、トランプ大統領は今後は環太平洋経済連携協定(TPP)から永久に離脱するとした大統領に署名し、これによって米国の貿易政策を「新たなステージ」に引き上げる考えを示した。また税制度に関して、「規制に関する法規が大幅に削減され、税負担が大きく減少する」と述べたほか、「米国国外に工場を移転させる企業には重い『国境税』を課す」と強調した。

   1月24日には、カナダから米国に石油を輸送するパイプラインのプロジェクト再開を決定。これはオバマ大統領が環境保護の観点から建設を中止していたものだ。その翌日にも大統領令に署名し、メキシコとの国境に長さ約2千マイル(約3200キロメートル)の壁を建設するとしたほか、不法移民を保護する州や都市(サンクチュアリーシティ)への補助金を削減するとし、移民を制限して国の安全性を向上させたい考えを示した。大統領令を受けてメキシコの通貨ペソは大混乱に陥った。

   2月になると、トランプ大統領はこれまで災難だと批判してきた金融規制改革法「ドッド フランク法」の見直し方針を示し、金融規制緩和の動きが始まった。その数日前には、驚異的な税制プランを制定中で、税制を大幅に簡素化する方針であることを明らかにし、選挙中の公約を実現しようとする姿勢をアピールした。

   以上のような正式に署名した大統領令や覚書だけではない。トランプ大統領は米国で工場を建設し、雇用を増やすよう、各国に絶えず圧力をかけている。「米国を再び偉大にする」との政策を受けて、各国は米国の今後の政策や影響の不確定性を深刻に受け止め、日系企業は方針を決めかねている。

   ロイター社がまとめた最新の調査結果によると、トランプ大統領の政策の不確定性は企業の対米投資への懸念を著しく増大させている、日系企業の3分の1は次年度には日本国内事業への投資を増やす計画だが、米国事業への投資を増やすことについては消極的という。

   ロイター社のこの企業を対象とした調査では、回答企業の33%が日本国内での資本的支出を増やすことを検討中とし、57%は前年度並みの投資水準を維持すると答えた。これは17年の日本経済の持続的回復の実現を予感させるプラスの現象だといえる。みずほ総合研究所調査本部経済調査部の徳田秀信主任エコノミストは、「海外需要の低迷で、日本の製造業関係者はこれまで資本的支出に様子見の態度を取ってきたが、彼らの立ち位置が徐々に変わりつつある」との見方を示す。調査で米国でのビジネス計画があると答えた企業のうち、「米国の需要は今後1~2年は拡大する。トランプ大統領の政策により雇用が生まれ消費支出が促進される」との見方を示したところは半数をやや上回る程度だった。27%が「米国の需要は横ばい」と答え、残りは「需要は縮小する」と答えた。

   調査によると、日系企業の多くが17年度の対米投資には引き続き様子見の態度を示した。化学工業メーカーのマネージャーは、「米国が何をしようとしているのかよくわからないから」と述べ、他の回答者も基本的に同じ態度を取り、「状況をみているところ」と答えた。企業は85%が、「企業として米国での関連事業に対する立場に変化はない」と答えた。

   徳田エコノミストは、「日本企業は2方面の要因を検討中で、1つは国境税の徴収や関税の引き上げといったマイナス要因、もう1つは規制緩和や減税といったプラス要因だ。こうした要因はいずれも、今は先がはっきり見通せない」と話す。

   報道によると、2月初めに日本の安倍晋三首相がトランプ大統領と会談する前、一部の日系企業のトップが、「日本の政府筋から企業に要請があり、対米投資を増やすよう求められた」ことを明らかにした。公共事業機関は、「安倍首相は企業の力をよりどころにして、米国の高速鉄道建設などのインフラプロジェクトに数百億ドル(1ドルは約113.5円)を投資する約束をしようとしている」と指摘。政府の圧力を受けて、シャープは米国に液晶パネル工場を新たに建設し、年内の着工、20年の稼働を目指す計画を打ち出した。総投資額は当初計画の8千億円をベースに調整するという。

 

(人民網日本語版)

 

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