銀行カードの海外での不正利用は珍しいことではないが、日本でこのほど明らかになった不正引き出しの金額は驚くべき額にのぼる。『読売新聞』の報道によると、偽造または他人名義の「銀聯カード」を使って今年春以降、日本の各大型銀行の自動預け払い機(ATM)から10億円(人民元換算約6300万元)以上の現金が不正に引き出されていたことがわかった。17日までに、日本の警察は、事件にかかわったと見られる中国台湾籍の容疑者4人を逮捕した。
日本を訪れる中国人観光客が増える中、日本には、「銀聯カード」が使える多くの支払端末(POS端末)やATMが設置されるようになっている。だが支払いの安全対策の後れにより、日本では、カードを使った不正犯罪が頻発している。日本の警察は、有效な対策が取られない限り、日本は世界の銀行カードの「犯罪天国」となると指摘している。
多額の不正利用事件が頻発
日本の警察と銀行などの金融機関は、海外のカードを使ったATMの取引状況を調査する中で、今年春以降、少なくとも10億円が偽造または他人名義の「銀聯カード」で引き出されていたことを発見した。不正の被害に遭った口座のほとんどは中国大陸部の口座だった。
日本の警察は、4人の容疑者を窃盗の疑いで逮捕した。4人は、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行、みずぼ銀行の主要3大銀行のATMから多額の現金を引き出していたとされる。日本の警察によると、背後には海外の犯罪組織も関与しているとみられ、これについて引き続き調査が進められている。調査が進むにつれて、犯罪金額もさらに拡大する可能性がある。
日本の警察によると、不正に利用されたのは、中国大陸部のデビットカード機能のある口座が中心で、一部の口座は、だまし取った金銭を入れる専門の口座だったとされる。日本の警視庁によると、犯罪集団は、中国国内の関連部門の捜査を逃れるため、日本で不正資金を引き出していたと見られる。
「日本がATM犯罪の目標となっていることは認めざるを得ない」と日本の警察関係者は語っている。
遅れる安全措置
大量の中国人観光客が日本で消費するようになる中、ますます多くの日本のデパートやショップ、ATMが、中国の「銀聯カード」での取引を受け入れるようになっている。「銀聯カード」を使った消費で5%の優遇を受けられるところもある。だが銀聯カードによる消費が普及する一方、支払い設備のアップグレードは追いついておらず、海外交易の安全措置は後れており、リスクはふくらんでいる。
現在市場に出回っている銀行カードは主に、ICカードと磁気ストライプカード、IC・磁気ストライプ複合カードに分けられる。ICカードは安全性が高く、偽造が難しいが、ICカードリーダーは日本の多くの商店では普及しておらず、安全性の引き磁気ストライプカードは日本で依然として幅広く使われている。
今年5月以降、日本の各銀行は、不正利用件数を減らすため、海外銀行カードの1回での消費額の制限を始めた。だが事件を担当する日本の警察関係者によると、店舗のPOS端末と銀行のATMで磁気ストライプカードの使用をやめ、ICカードだけを使用するようにしない限り、不正利用の根絶は難しいと見られる。
この関係者は、「根本的な対策が取られない限り、日本は世界の銀行カードの犯罪天国となる可能性がある」と指摘している。
(チャイナネット)
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