中国のマクロ経済が徐々に落ち着きをみせるとともに、様々な改革が実施され、市場のリスク選好ムードが若干ながら回復に向かうなか、投資家心理が一段と楽観的になっている。中国証券投資家保護基金がこのほど発表した10月の投資家信頼感指数は55.3と、前月から9.9ポイント上昇し、年初来最高となった。
中国は改革開放以来、長きにわたって世界の主要国から投資を受け入れてきた。今年1~5月の海外から中国への直接投資額(FDI)は実行ベースで前年同期比2.8%増の489.1億ドルと増加基調を維持し、外資利用構造の最適化が進んでいる。一方、中国から海外への対外投資も大きく増加し、拡大ペースは海外からの投資に追い付く勢いとなっている。中国経済の国際化の進展は新たな段階に入った。エコノミストは、中国の経済発展が一定の段階に達した時に海外投資を展開することは、グローバル バリューチェーンの再構築への参加、産業の高度化や技術革新に必要な道のりだと指摘する。
中国はこの数年で世界各国に投資を行う投資大国に成長し、「投資受入国」から「投資大国」へと華麗なる変貌を遂げた。この10年間で中国の対外直接投資総額は5600億ドルを上回るなど、投資対象は世界中に及び、拡大の続く発展途上国での鉄道建設や港湾整備などのエンジニアリング 建設事業や民生改善 福祉事業などを含めると、中国の対外投資総額は1兆ドルを上回るとみられる。
今年に入ってから、中国企業による海外M&A(合併 買収)は爆発的な伸びをみせており、「投資大国」は中国の対外開放を表すもう一つの代名詞ともなっている。2016年1月から現在までの中国企業による海外M&A総額は2260億ドルとなり、過去最高だった15年通年のほぼ2倍にまで膨れ上がった。ブルームバーグのまとめによると、2014年以降、アジア太平洋地域の新興国の海外M&A総額は初めてEUを上回り、このうち中国企業が最大の割合を占めた。
だが、グローバル投資では中国企業は後発組という立ち位置にあり、決して順風満帆な道のりを歩んできたわけではない。世界金融危機の発生以降、先進国経済がこぞって低迷するなか、中国企業が相次いで国際舞台に登場したことに対し、主要国は複雑な気持ちを抱き、「中国が世界を買い占める」とまで報じるメディアもあるなど、憂慮や偏見に満ちた言葉も少なくなかった。 中国は貿易大国から対外投資大国への転換を進めているが、これにより世界経済における中国のポジションがかつてないほど高まるであろう。中国は今、貿易と投資の2つを車の両輪として成長戦略を推進している。
この10年間に米国、オーストラリア、カナダの3カ国が中国の対外投資の最大の受入国となっているが、先進技術や資源の獲得、投資回収を保証する市場の透明性や保護制度といったものが、中国が対外投資を行う上での重要な決め手となっている。改革開放初期における大々的な企業誘致や外資導入から現在の積極的な海外市場の開拓や投資に至るまで、中国は経済のグローバル化に積極的に参加するという戦略をとってきた。中国の投資大国として表舞台への登場は、世界により多く協力とウィンウィンの関係をもたらすことになろう。
(チャイナネット)
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