今年7月に日本の参院選が終わると、憲法改正に賛成する国会議員の勢力が3分の2を上回り、「改憲」に実現の可能性が備わった。しかし日本の一部メディアは、改憲に積極的だった安倍晋三首相が最近、この話題について言及していないことに注意している。
【沈黙戦術】
改憲は安倍首相の宿願だ。安倍首相は今年1月4日の年頭記者会見で「参院選で改憲を極力主張する」と述べた。安倍首相は同月24日に参議院で、改憲が「具体的に改正する項目を確定する新たな現実的段階に突入した」と述べ、その後さらに「任期内に改憲という大仕事を終える」と述べた。ところが秋の国会が始まると、安倍首相は今までの態度を変え、「沈黙戦術」を始めた。
安倍首相は今月5日、民進党の蓮舫代表から改憲案について質問された際に答弁を避け、「政府の改憲に関する統一見解、もしくは自民党の改憲案の問題については説明できない」と述べた。自民党の高村正彦副総裁は話をつぎ、「内閣は改憲に関するいかなる職能も権限も持たない。政府には改憲に対する統一見解がまったくない」と述べることで、安倍首相を援護した。
安倍首相は最終的に、民進党の山尾志桜里議員から追求され、改憲について沈黙を維持する理由について口にした。安倍首相によると、改憲に「現実的意義」が備わったあと、自民党総裁としての立場で論評することを避けるべきだと判断したという。
自民党は7月の参院選でも、意図的に改憲への言及を避け、票を集めようとしていた。山尾議員は12日、安倍首相が「逃避を続け改憲の議論を妨げようとしている」と批判した。日本共産党も、安倍政権による改憲に断固反対した。
【選挙が焦点に】
朝日新聞によると、安倍首相が野党と改憲の議論を避けるのは、自民党の改憲案をめぐる「個人的意欲」に満ちた答弁により、野党の強い反発を招いたことがあるためだ。自民党憲法改正推進本部のメンバーは朝日新聞に対して、「改憲を推進したければ、首相は改憲の姿勢を示さないほうがいい」と述べた。
日本国憲法によると、改憲は「改憲の国会発議」と「国民投票」という、2つの手続きを踏まえる必要がある。改憲の発議は衆参両院の3分の2以上の議員の賛成が必要だが、この条件はすでに整っている。そこで安倍首相は、国民投票で過半数の賛成という、次の目標に照準を合わせている。
安倍首相と側近は、与野党が改憲をめぐり対立を激化させれば、輿論に分裂が生じ、国民投票に影響が生じると踏んでいる。改憲の国民投票は安保法のように、国会の議席数により強行採決できるわけではない。
朝日新聞は政府筋の話を引用し、安倍政権は衆参両院で改憲を専門的に促進する「憲法審査会」を設立したが、最終的な憲法改正案をまとめるにはさらに1年が必要なため、具体的な内容が決まる前に対立の局面を避けようとしていると分析した。
(チャイナネット)
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