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中国の民間には、旧暦の1月3・6・9日に実家を離れるという習慣がある。連休中ではあるが、年越しのため帰省していた多くの人は、10日(旧暦の1月3日)にUターンを開始した。山東省の淄博駅では同日、驚くべき一幕が演じられた。同日夜に北京に帰る予定だった張さんが列車を待つ間、見送りに来てくれた両親の前で大泣きし、列車に遅れてしまったのだ。多くの人は張さんを見て、我が身を振り返った。実家を長く離れ、親孝行できていないが、この現状を変えられないというやるせない思いがあるのだ。米華字紙・僑報が伝えた。
中国の伝統によると、子供は家で両親に付き添い、世話をすることになっている。『論語 里仁篇』には、「父母在せば遠く遊ばず 、遊ぶに必ず方あるべし」と記されている。つまり年老いた両親が健在であれば、出来る限り長期的な不在を避けるべきであり、そうせざるを得ない場合でも両親に何のためにどこに行くのか、いつ戻ってくるのかを教え、面倒を見てもらえるよう手配しておくべきだということだ。
しかし今日の中国では、このように両親の世話をできる人が少なくなっている。都市化の推進により、人員の流動が頻繁になり、仕事のプレッシャがー拡大している。また経済発展は中国社会の核家族化を促し、四世代が同居するような世帯が減少している。両親のもとを離れ一家を構える子供が増えており、両親に付き添うことが困難になっている。
この現象は、現代化の伝統的な暮らしに対する必然的な影響ではない。現代化の条件を活用し、高齢者福祉サービスを改善すれば、この問題をある程度解消することができる。高齢となった両親にとって、子供と長期的に離れ離れになる状況は、最も耐え難い。高齢者を核家族化の社会に適応させるためには、新たな家庭的観念の樹立を促す必要がある。家庭関係の重点を縦向き(両親と子供の関係)から横向き(夫婦の関係)に変えることで、子供に対する過度な依存心を弱めるのだ。同時に高齢者の新たな生活を豊富にし、別の役割を見つけることが必要だ。この過程において、社会団体と公益組織がより大きな役割を発揮するべきだ。
高齢者の心の不足を補う上で、子供による配慮が最も効果的となる。物的に両親の面倒を見るほか、心の配慮にも注意が必要だ。両親に連絡し触れ合う回数を増やし、「遠く遊ぶに必ず方あるべし」という親孝行を尽くす。当然ながら両親と付き添う時間を増やすためには、社会各界が努力する必要がある。これは長い道のりで、障害もあるかもしれないが、発展の成果を高齢者に与える最も重要な手段でもある。
付き添うことが最大の親孝行だと言われる。この道が短くなればなるほど、親孝行を優先する中華の美徳を海外に広げることができる。
(チャイナネット)
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