ロシアのプーチン大統領と日本の安倍晋三首相が22日に電話会談した。この電話会談は日本からの提案で、双方は朝鮮半島情勢、世界のテロ対策、シリアの政治的和解といった国際問題について意見交換した。両国首脳は露日関係の発展についても議論し、政治・経済・人文などの協力によって双方の利益が拡大されることを強調した。安倍首相は、適切な時期を見計らいロシアを訪問することを再確認した。露日両国はこのほど外交面で突如接近したが、どのような戦略的方針と需要を持っているのだろうか?
ロシアと日本は世界で最も孤立した2つの大国となっている。両国には、関係改善により孤立から脱却するという、戦略的な需要が存在する。現在の複雑で変化が激しい国際情勢下、露日の外交関係の改善は、一連の国際関係の重大な変化を引き起こす可能性がある。この重大な変化は既存の国際関係の構造を再構築するかもしれない。
露日両国の間には長期に渡り、領土(北方四島)問題が存在する。そのため両国は長期に渡り、相手国を戦略的な競争相手としていた。しかし両国(特に日本)は、領土問題の外交関係への重要な影響を過度に強調し、関係改善の現実的・戦略的な需要をないがしろにした。露日両国はそれぞれ国際的に孤立しており、相手国との外交政策の調整が大勢の赴く所となっている。双方は22日の電話会談で、両国間の全面的・実務的な協力の発展と強化に取り組むと表明し、上述した判断に論拠を与えた。
全体的に見て、露日関係の戦略的な歩み寄りにより、外交政策の2つの調整が行われるかもしれない。まず、双方の長期に渡る領土問題だが、処理方法がより柔軟かつ温和的なものとなる。双方はこれまでのように、北方四島の最終的な帰属の問題ばかりを強調するのではなく、現実レベルでの北方四島の経済・自然資源の開発への重視を強める。次に、両国が政治・経済・エネルギーのより実務的な協力を推進し、世界で孤立するという戦略的な苦境から脱却する。こうしてより多くの戦略的資源を手にし、両国の主な戦略的目標を実現する。
米国はアジア太平洋回帰の推進を加速し、世界のその他の地域に力を向ける余裕がない。そのため米国の対露外交政策には、軟化の兆しが見え始めている。ロシアと日本の外交上の歩み寄りは、当然の流れとなっている。米国にとって、両国の急な歩み寄りは、米国と同盟国が一致してロシアに圧力をかけるという、外交戦略を損ねる可能性がある。ただし長期的に見ると、露日関係の緩和と改善により、日本は主な力を東中国海と南中国海に向けることで、米国のアジア太平洋回帰を力強く支援・補充することができる。相対的に見て実力が低下している米国が、アジア太平洋回帰の目標を実現する上で、これは決定的な力を持つ。そのためホワイトハウスと国務省は、安倍首相が自らプーチン大統領と電話会談し、両国の全面的な関係を発展・深化させるという意向を表明したことについて、公の場でコメント・批判していない。
上述した通り、米国のアジア太平洋回帰は難航している。日本は日露関係の緊張により、多くの力をロシアけん制のため北東方面に向けなければならず、東中国海と南中国海に専念し米国のアジア太平洋回帰を力強く支えることができない。より広い戦略的視野から見ると、中国の急速な台頭と積極的な新外交戦略の実施に伴い、日本は外交面でかつてないほどの圧力と孤立を感じている。そのため日本は露日関係の戦略的な歩み寄りによって、孤立から脱却し力を南に向け、中国けん制を狙いとする米国のアジア太平洋回帰の順調な実施に協力することで、アジア太平洋事業を主導するという戦略的目標を実現しようとしている。
(チャイナネット)
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