2015年10月30日、国連気候変動パリ会議(COP21)の開催を控え、気候変動問題が再び注目を集めている。英サウサンプトン大学の海洋・地球科学教授は研究者を率いて、気候変動に関する政府間パネルの最新の報告書に基づき、次のように予想した。世界で多くの危険エリアが確認されているが、そのうち多くの場所では世界の平均気温が摂氏2度上昇した場合、海氷・海流・凍土・生物圏などに関わる重大気象事件が発生する可能性があるというのだ。北京日報が伝えた。
◆北極の海氷 夏に海水が凍らなくなる恐れも 北極の海氷は藍色の海面より高い反射率を持つ。海氷が高い水温により溶けた場合、多くの海水が高い気温にさらされることになる。これによって海洋がより多くの放射を吸収し、海氷の溶解を早める。多くの研究者は、最近の海氷の縮小と模型構築の研究において、今後10年、もしくはさらに短期間のうちに、夏の北極では海水が凍らなくなる可能性があると判断した。
◆グリーンランドの氷床 数百年内に崩壊か グリーンランドの氷床は地球温暖化の影響を受けやすい。氷河の融解の縁が氷床の縁の高さを下回るため悪循環となり、氷床の融解が進む。研究者はグリーンランドの氷床は、数千年内ではなく数百年内に崩壊すると判断した。
◆南極西部の氷床 融解により海面が上昇 南極西部の氷床の高さは海面を下回るため、底が抜け、高温の海水の入り口になる。専門家は、今後100-1000年内に南極西部の氷床が崩壊し、100年毎に海面が1メートル以上上昇すると予想した。これは20世紀の海面上昇のペースの5倍に相当し、沿岸部の都市に影響を及ぼすことになる。
◆エルニーニョ・南方振動 将来的に安定化・長期化 エルニーニョ・南方振動とは、この2つの自然現象の総称で、準周期的な気候変動を指す。この現象は赤道付近の太平洋エリアに影響を及ぼす。世界的な温暖化に伴い、この現象はより「安定化・長期化」する。
◆インドのモンスーン 気候変動に伴い強化 インドの夏のモンスーンは、陸地および海洋の気圧配置、海洋および陸地の湿度の流れと密接に関連している。世界的な温暖化により、陸地の気温の上昇幅は海洋を上回る。温室効果ガスによる気候変動は、モンスーンを強化する。気候変動に関する政府間パネルの研究報告によると、インドのモンスーンが今世紀中に臨界点に達することはない。しかし古代の気象状況の模型によれば、インドのモンスーンにはすでに顕著な変化が生じている。
◆アマゾンの熱帯雨林 人類の活動と気候変動が深刻な脅威に アマゾンの熱帯雨林の水循環は、例えば森林の伐採、降雨量の減少、長い干ばつ、上昇を続ける夏の気温といった要因と密接に関連している。これらの変動は、樹木の頂部が枯れる原因になる。これらの要因は、エルニーニョ現象の長期化、世界の気温が3-4度上昇したことから、直接的な影響を受けている。また拡大する人類の活動、森林火災などが、アマゾンの熱帯雨林を破壊している。
◆サンゴ礁 過去30年間で大幅に縮小 熱帯大西洋、インド洋・太平洋の海域のサンゴ礁は、この30年間で大幅に縮小した。この現象には多くの原因があるが、研究者は世界的な気候変動、大気中の二酸化炭素の濃度上昇が海洋に与える影響と関連していると判断した。他にも人為的な環境汚染、海面上昇、海水のpH値の低下、海水の温度上昇といった要因がある。
(人民網日本語版)
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