【新華社ワシントン7月24日】米国の自動車メーカーや業界団体、欧州連合(EU)、カナダなどの代表はこのほど、米商務省がワシントンで開いた公聴会で、米政府が輸入自動車や部品に対し、通商拡大法232条に基づく調査を実施したことについて強く批判し、輸入自動車や部品に対し追加関税を課すことは米国の消費者と自動車業界全体に被害をもたらし、最終的に米国の雇用に大きな損失を与えることになると警告した。
米自動車工業会で連邦政府関連の事務を担当するジェニファー・トーマス副会長は19日の公聴会で、米国政府の輸入自動車に対する「前代未聞、全く根拠のない」調査に強く反対すると語った。
トーマス氏は、利害関係者が米商務省に対し提出した2200部以上の書面による意見はどれも輸入自動車に対する調査に反対し、3つの団体だけが調査を支持していると指摘。同調査がこれほど広い反対に遭うのは、追加関税の破壊性が恐ろしい結果をもたらし、高い関税により米国の家庭や労働者、経済全体を害するからだとの見方を示した。
米自動車貿易政策評議会(AAPC)のマット・ブラント会長は、米国は国の安全保障に関するどのようなニーズであっても満たせるだけの十分な生産能力を有しており、輸入自動車が安全保障の脅威となっているという兆しは全くないと語った。同評議会の研究によれば、もし輸入自動車に追加関税を課せば、鉄鋼・アルミ製品への関税の影響も加わり、国内の自動車業界の投資や輸出は減少し、雇用に大きな損害をもたらすという。
全米自動車ディーラー協会(NADA)のピーター・ウェルチ社長は、輸入自動車に対する25%の追加関税は、国内の自動車メーカー、取引業者そして消費者に損失をもたらすことになり、とりわけ消費者に対する打撃が最も大きくなると指摘。米自動車研究センター(CAR)の研究によれば、25%の追加関税は米国市場の新車価格を980~4400ドル(1ドル=約111円)引き上げるという。
米商務省のロス長官は19日の公聴会で、同調査で輸入自動車に追加関税が課されることになるかどうかを現在討論するのは時期尚早だと語った。
EUやカナダなどの経済体(エコノミー)の代表は、もし米国が輸入自動車や部品に追加関税を課せば、相応の報復措置をとると警告した。
カナダのカーステン・ヒルマン駐米副大使は、もし調査によって最終的に輸入自動車に対する追加関税が決定されれば、カナダは報復措置をとらざるを得ないと強調。EUのデイビッド・オサリバン駐米大使も、EU内部では現在相応の報復措置を準備していると語り、自動車関税を実行すれば米国の約2940億ドルの輸出製品に対する他の経済体からの報復的措置を受ける可能性があると警告した。
米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の研究によれば、もし他の経済体が米国の自動車関税に対し同等の報復をしたとすれば、米国は62万4千の雇用を失い、米国自動車産業の従業員約5%が失業することになるという。
18日には140人以上の米下院議員が、自国政府に輸入自動車や部品に対する「232条調査」を断念するよう促し、また輸入自動車や部品に追加関税を課すことは米国経済の安定にマイナスの影響をもたらすと表明している。
米商務省は「1962年通商拡大法」232条に基づき、輸入製品が国の安全保障を損なうか調査を行う権利を有している。トランプ政権はこれまで「232条調査」に基づき鉄鋼・アルミ製品に対し追加関税を課し、米国内や国際社会の広い反対に遭っている。
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