【新華社東京4月20日】中国の電子商取引(EC)大手のアリババ集団傘下の金融サービス会社螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の会長彭蕾氏はこのほど、同社会長を退任し東南アジアのECサイト、ラザダ(Lazada)に専念することを発表した。
2016年、アリババはラザダに10億ドル(1ドル=約107円)を投資し、東南アジア6カ国でECビジネスを拡大した。さらに今年3月、20億ドルの追加投資と彭氏のラザダCEO就任を発表した。これはアリババが東南アジア市場を重視していることを示している。実は、アリババだけでなく、他の中国インターネット企業やベンチャーキャピタルにとっても、東南アジアは海外進出の重要な一歩になっている。
2017年7月、東南アジア地域の配車サービス最大手グラブ(Grab)は、中国の滴滴出行(ディディチューシン)と日本のソフトバンクグループから20億ドルの投資を受けた。それに先立つ同年5月、グラブ最大の競合相手の一つであるゴジェック会社(GO-JEK)は12億ドルの融資を完了したが、主な投資者はアリババのライバルである中国の騰訊(テンセント)だった。
▽東南アジアの変化
中国のインターネット産業は過去10年にわたって急速に発展し、フォロワーからリードする立場にまで成長した。中国のインターネット企業から見ると、現在の東南アジアは10年前の中国と非常に似ている。
まず、東南アジアでは中間層が豊かになり始めている。1人当たりGDPは10年前の中国とほぼ同じだ。
第二に、インターネットとモバイルインターネットが急速に成長している。東南アジアの総人口は6・5億人余りだが、スマートフォンの利用者は3億人を超えており、インターネット企業にとって巨大な市場となっている。また、人口構成が非常に若く、平均年齢は29歳。インターネットユーザー数は毎日約12万人ずつ増加しており、市場の潜在力が大きい。また中国の多くのベンチャー企業のビジネスモデルはすでに国内で成功しており、東南アジアへの進出は、ローカリゼーションとマイクロイノベーションだけで十分だ。
第三に、東南アジアではハーバード大学やスタンフォード大学などに留学した優秀な人材が帰国する波が始まりつつある。インターネット関連ビジネスのスタートアップでは、人材に対する需要が非常に大きい。前述のゴジェックの創業者であるマカリム氏はハーバード・ビジネススクール卒、インドネシア最大の旅行予約サイトトラベロッカ(Traveloka)の創業者であるフェリー・ウナルディ(Ferry Unardi)氏もハーバードの中退生だ。
▽東南アジアにおける課題
中国の起業家が東南アジアに進出する、あるいは中国の投資家が東南アジアの地元企業に投資する際には課題もある。地元には競争力のある人材が不足し、IT業界全体の魅力も足りない。次に、東南アジアは全体として多くの人口を有するが、複雑な宗教分布や文化の多様性などのため、ビジネスモデルを簡単に複製して急成長を実現するのはなかなか難しい。
中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)レベルの企業が進出し、大量の資金投資を始めている東南アジアは、大きな市場が期待できると見られがちだが、中国企業の市場開拓にはまだ長い道のりがありそうだ。(胡学良)
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