元宵節(旧暦1月15日、今年は2月11日)が近づき、その際に食べる伝統的な食品である湯圓(もち米粉で餡を包み茹でた団子)の販売もピークを迎えている。新しい物を試すのが大好きな人々は、スーパーなどでは見かけることのないドリアンやチーズ、さらにはひき肉が入った湯圓をネット上で買い求めている。このほか、淘宝網や微信(Wechat)のソーシャル機能「モーメンツ」には、個人の好みに応じて作ってもらえる「カスタムメイド湯圓」まで登場した。だが、「北京市オンライン食品経営監督管理弁法」には「ネット上で販売される食品は、食品経営許可あるいは登録証を取得していなければならない」と明確に規定されている。北京晨報が伝えた。
〇オンライン販売の「カスタムメイド湯圓」の売れ行き好調
広西チワン族自治区出身の周さん(女性)は、北京に住み始めて4年あまりになる。普段からあちこち美味しいレストランを探しては美食を堪能することが大好きな彼女は、「子供のころよく食べていた豚肉・エビ入り湯圓は、北方では滅多に売っていないが、幸いなことに今ではオンラインで簡単に購入することができる。ついこの前も、冷凍湯圓を広西から取り寄せた」と話す。
大学生の胡さんは、今年は彼の家の元宵節の湯圓調達は彼が担当しているのだという。母親にネットで「麻雀牌」と「サイコロ」の形をした湯圓を買うつもりという彼は「母はよく麻雀をしているので、味はともかく、喜んでもらえると思う」と話した。
さらに取材を進めてみると、干しタケノコと肉の餡、カボチャ、梅干菜(からし菜の漬物)、肉と大根、ニラと鶏卵など、マイナーな湯圓の販売量が日ごとにアップしている。また、これらの湯圓を製造する店の多くは「カスタムメイドの手作り」を謳っており、お客から注文を受けてから製造するため、「新鮮さは保証します」ということだ。
ある客は「たとえ店に好みの湯圓がなくても、カスタムメイドを頼むことができる。市場で手に入る材料で、もち米の生地で包める具なら何でも注文できる」と話した。
客の心に残る「ためらい」
「モーメンツ」に画像をアップしてお客からの注文を取ろうとする人も少なくない。劉さん(女性)は、「モーメンツ」の買い物には詳しいベテラン。元宵節の手作り湯圓、端午節のユニークな粽(ちまき)、中秋節の風変わりな月餅など、彼女は全て「モーメンツ」で知り合った「手作りのプロ」から手に入れている。売る側の多くは、彼女が知人を通して知り合いになった人々だが、売り手が実店舗を構えているかどうか、経営許可証や衛生許可証を所持しているかどうかについては全く知らないという。
「掲載されている写真を見ていいなと思ったら注文している」という劉さんだが、売り手側の製造環境や食材、販売までのプロセスが、安全かどうかについては受け身にならざるを得ないという。そのため「売り手の良心だけが頼みの綱。だから買うときには、ある種の『ためらい』が全くないとは言えない。万が一、食の安全の問題が生じれば、解決のためにどこに相談に行けばよいのかわからないし、どこに告発してよいのかどうかも分からない」と話す。
昨年3月、「北京市オンライン食品経営監督管理弁法(暫定法)」が正式に施行された。「弁法」の規定によると、オンライン食品経営者は、法にもとづき取得した食品経営許可証を所持していなければならず、オンライン食品経営の対象範囲は、それが許可している範囲と一致している必要がある。経営許可証を取得していない経営者は、オンライン食品経営活動に従事してはならない。また、「弁法」は、オンライン食品を販売する際には、「領収証」を発行しなければならず、さらにネット上でその製造過程を公開することを奨励している。
年若い販売者の林さんは、「私がモーメンツでビスケットを販売しているのは、ただの暇つぶしにすぎず、それでお金もうけもできるからというだけ。経営許可書を申請する手間をかけるなんて、とんでもないことだ。それは同業者もほぼ同じ。モーメンツで売るのは、ただ手っ取り早いからに過ぎない」と話す。
〇弁護士:「許可証なしでの販売は違法」
北京市中関弁護士事務所の李青山・主任弁護士は、この問題について「『食品安全法』第35条では、食品の販売に従事するには、相応の許可証を取得しなければならないと定められている。個人が微信「モーメンツ」で食品を販売する場合、許可証を取得していなければ、その行為は違法行為にあたる。消費者として取るべき最善の方法は、このようなルートで食品を買うのではなく、合法的な第三者取引プラットフォームや正規の経営許可証を持つ食品メーカーの自社サイトで買うことだ。ただの便利さゆえに、微信「モーメンツ」で食品を購入する場合には、万が一、商品の品質による損害を受けた場合に自分の権益を護るうえでも、販売者の実名、住所、連絡先などの関連情報をしっかりと確認したうえで買うべきだ」と指摘している。
(人民網日本語版)
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