今年の春節、30歳の史穎さんは中国の慣習通りに上海に帰って家族と過ごすつもりは無い。逆に、家族全員で日本に行って、ショッピングや観光を楽しむ予定だ。史穎さんはここ数年、春節になると親族と一緒にシンガポールやマレーシア、タイ、米国などへ旅行に出かけてきた。彼らはこのような旅を新しい習慣にすることで、人混みや渋滞を避けている。事実、感謝祭になると中西部に帰らずバミューダ諸島で過ごす米国人も多い。これと同様に、所得の増加と国際航空ネットワークの拡大に伴い、多くの中国人が海外で7日間の春節休暇を過ごすようになっている。
満員の旅客機が日本や韓国、東南アジアに飛び、今年の春節の中国人海外旅行客数は過去最高の延べ600万人に上る見込みだ。マッキンゼー上海のパートナーであるスティーブ・ザクセン氏は、中国の航空会社の国際業務で「春節は最大の繁忙期」であり、航空各社の「春運」の売上比率は平均で20%に上るとしている。中国本土の有名旅行サイトによると、春節期間中の中国人旅行客の海外旅行先は174カ所、ツアー日数は平均9.2日に上る。中国人が続々と旅行に出る祝日は、どの航空会社にとっても「お金の中で泳ぐ」ようなものだという。
この旅行ブームを後押ししているのは、中国経済の高成長だ。中国のGDP成長率は1990年から6.7%以上の伸びを維持し、人々の可処分所得を押し上げている。統計によると、中国の都市部住民1人あたりの平均可処分所得は2006年から2015年の間に165%増加し、3万1195元前後に達した。
このほか、海外での年越しは中国が長い間実施してきた一人っ子政策と関係がある。ブルームバーグインテリジェンス・シンガポールのアナリストであるキャサリン・リン氏は、「中国の富裕層の若い世代は世界中に旅行に行きたがっている」とし、「世帯全体の規模が縮小するなか、できることも昔ほど多くない」と指摘。「特に若い世代は、エルメスのバッグを買うよりも、海外旅行で新しい土地を体験することにお金を使いたがっている」としている。
(チャイナネット)
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