2008年の国際金融危機以降、世界の貿易の成長が伸び悩んでいる。1990−2008年の平均成長率は7%だったが、2009−15年は3%に低下。貿易・投資の伸び率が低下を続け、国際社会の大多数の国は協力し、困難を乗り越えようとしている。しかし米国と一部の欧州諸国を始めとする先進国は、経済グローバル化の流れに逆らい自国を守ろうとし、世界経済の不確定性を大幅に高めている。責任ある大国、世界2位の経済国である中国は、当然ながら世界経済の安定に向け努力し、保護貿易主義に断固反対した上で、中国の知恵で貢献する。
まず金融政策と財政政策を実施すると同時に、構造調整を重視する。米国を含む国際社会にとって、金融政策と財政政策だけでは経済回復には不十分だ。例えば米国は債務負担が拡大するなか、減税とインフラ投資の拡大に踏み切れば、債務危機のリスクを拡大する。この時に必要となるのは構造調整で、その力を利用しなければならない。中国はすでに金融政策・財政政策・構造調整を結びつけ、供給側の構造改革を拡大し、新技術革命の成果を十分に活用し、アフリカ諸国と後発開発途上国の工業化の実現を支援することで、世界経済の力強く持続可能な、バランスのとれた包括的な成長を実現すると表明している。中国の案は、先進国の一部の行為による悪影響を相殺する。
次に、グローバルガバナンス能力・水準を高める。世界経済の回復が直面している不確定性を克服するため、中国は国際経済秩序の平等・公平・協力・ウィンウィンへの発展を促進する。この目標を実現するためには、国際ルールおよびガバナンス体制の改革を継続し、発展途上国のルール制定における発言権を高め、一強や寡占に反対する必要がある。また各国のマクロ経済政策の連携を強化し、グローバルガバナンス能力・水準を高めなければならない。
それから、経済グローバル化を継続し、世界経済の持続可能な発展を促進する。2008年の金融危機は経済グローバル化を遅らせた。一部の国は貿易自由化・便利化の原則に背き、分散化された排他的な貿易・投資計画を打ち出し、経済グローバル化への逆行を強めている。これは各国の経済成長と世界の経済発展にとって間違いなく不利だ。世界経済の回復を実現するためには、経済グローバル化を再発進させる必要がある。中国は世界経済のさらなる開放・交流・融合を促すため努力し続けている。例えば昨年のG20サミットでは、中国が提案する「G20貿易投資作業部会の作業職責」「G20世界貿易成長戦略」が承認された。貿易コスト削減、貿易・投資政策の連携促進、サービス貿易の推進、貿易金融の強化、電子商取引の発展促進、貿易と発展の問題の処理といった、重大な貿易・投資発展目標に対して、長期的かつ安定的なメカニズムをもたらした。世界貿易・経済の持続可能な開発の促進、経済グローバル化の再構築の方向を示した。(筆者:何自力 南開大学経済学院教授)
(チャイナネット)
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