新華網北京10月10日 中国新聞社(以下は中新社という)の報道によると、中国人民銀行(中国の中央銀行)の周小川総裁はワシントンで開催された今年の第4回20カ国グループ・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議に出席し、世界経済の復興が次第に正常化するにつれて、中国は信用貸付の成長をやや抑制すると指摘した。今年2月を振り返ると、第1回G20財務大臣・中央銀行総裁会議が上海で開催された際に、周小川総裁が中国の通貨政策は「安定し、やや緩和した」状態にあると初めて言及した。異なる時間と場所での同一の会議で、中国中央銀行総裁が中国の通貨環境に影響を及ぼす2種類の発言を行った。今後の通貨環境はこれを契機に引き締めに転じるのだろうか。
「将来的に一定の流動性を保証することを前提に、通貨政策は真に安定した中性の状態に移行し、現在の安定した緩和から脱しつつある。」と中国人民大学重陽金融研究院の客員研究員、董希淼氏は中新社記者に、語った。董希淼氏はまた、中国政府が経済金融問題に対応するために、現段階の通貨環境を緩和させるようになったと指摘した。
董希淼氏は、次のように指摘した。中国の8月のマクロ経済の最新データが上向きであるのは、中国経済が安定に向かっていることの表れで、次の任務は安定成長、構造調整、リスク防止の三者を同時に進行させることだ。これによって、信用貸付の成長をやや抑える。
経済学者の宋清輝氏は信用貸付の急増に伴う問題によって、信用貸付の成長を抑制することは回避できない政策的選択だとする見方を示した。
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周小川総裁:中国の銀行システムは不良債権比率が上昇も全体的にリスクコントロールは可能
今年に入ってからも中国の経済成長は引き続き合理的な区間内にあり、物価も基本的に安定を維持しているほか、このところ一部の重要な経済指標にも持ち直しの兆しが現れるようになった。また経済が中高速成長期へ移行する「新常態」に入ると同時に、中国の経済成長の構造や質の面でも改善が続き、新たな成長の原動力が絶えず大量に現れていることから、経済が長期的に上向くというファンダメンタルズが変わることはない。中国の銀行貸出の伸びが比較的に速いことは、世界経済の成長力が乏しい背景のもとで、リスクに対応し、成長促進に向けて行ってきた中国の努力を反映している。世界経済の回復が徐々に正常化に向かうに伴い、中国は銀行貸出の伸びを多少抑えるようになる。銀行システムの不良債権比率は若干上昇したが、資本は十分に足りており、全体的にリスクコントロールすることができるといえる。
中国人民銀行(中央銀行)は1日、人民元のSDR通貨バスケット入りを契機に、金融改革をさらに深め、金融開放を拡大し、世界経済の成長を促すために、また世界金融の安定を守り、世界経済のガバナンスを整備するために積極的に貢献していくとの声明を発表した。
米専門家:中国不動産価格の急騰の背後で経済のモデル転換の重要性が顕著に示されたとみなし
国際通貨基金(IMF)アジア太平洋地域事務所のMarkus Rodlauer副主任は、ここ数か月中国の不動産価格の上昇は非常に速く、特に一部の都市では住宅需要が供給よりも大きいという市場要因を反映する一方で、地方政府が一部の住宅購入の制限措置を早々に取り消すことで不動産市場の下落に対応し、それにより銀行が多くの住宅ローンを貸し付けたことも反映しているとの見方を示した。
ピーターソン国際経済研究所の客員研究員であるローリー・マックファーカー(Rory MacFarquha)氏は、中国の構造改革推進に伴って社会の安全ネットワークを改善することは、住民の貯蓄率を低下するのに役立つ見通しで、それにより金融システム及び不動産市場の安定的な発展にも役立つだろうと述べている。