人民元は今月1日より正式に、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨になった。人民元はこれにより、IMFの正式な準備通貨の一つになった。これは人民元への国際的な期待が高まり、より厳しい要求が突きつけられることを意味する。多くの中国人は今後、海外での人民元の使用がより便利になることに期待している。
実際には海外で人民元を使い、旅行や買物を自由に楽しむのは、現時点では非現実的だ。海外でのカード決済は便利になってきているが、人民元の現金をどこでも引き出し、使用できるわけではない。
専門家は、「SDR構成通貨になったあと、市場の人民元への期待感が高まる。人民元はより安定的で、広く受け入れられる通貨になる。人々が人民元建て資産の保有に自信を深めることで、資産規模縮小の圧力が弱まる。しかし海外の屋台で、人民元の現金で支払いを行うのは現実的ではない」と指摘した。
対外経貿大学の丁志傑校長補佐は「人民元がSDR構成通貨になったことで、国際市場での認知度と使用率が高まり、市場の人民元への自信が深まる。これはある程度、海外での人民元使用の支障を減らす。海外企業 個人の人民元に対する受け入れの程度も高まるだろう」と分析した。
一般人は今後、海外で買い物 観光 留学する際に、両替の規制が緩和され、手続きが便利になる可能性がある。例えばこれまで多くの国が人民元の直接両替に応じておらず、米ドルに両替してから現地の通貨に両替する必要があった。今後は人民元を現地の通貨に直接両替し、米ドルに両替する手間を省くことで、レート差による損失を減らすことができる。
人民元がSDR構成通貨になったことは、域外投資の需要を持つ人にとって朗報だ。北京の文化 メディア企業で働く劉氏は「域外で人民元建ての投融資を行えば、為替レート変動によるリスク管理がしやすくなる。また人民元の流動性が高まり、取引の手数料や資産管理コストが低下する。米国や欧州の株 債券への投資が、国内の投資と同じく便利になることを願う」と話した。
中国人は以前、海外で資産を保有するためには米ドルを使用する必要があった。国内の資産も国際性を持たなかった。しかし今後は世界での資産配分の選択肢と、海外投資のチャンスが増える。丁氏は「人民元が世界的に受け入れられるに伴い、中国人の国際的な資産配分の多元化の余地が広がる」と話した。
企業に新たな利益をもたらす
国際決済、海外投資が便利になり、レート変動によるリスク管理コストが低下する。これにより企業の海外進出の自信が深まり、世界基準に合わせるよう銀行に強いることにつながる。
中化集団公司資金管理部副総経理の唐致軍氏は「人民元の決済範囲が拡大し、人民元決済が普遍的になる。これはグローバル企業が夢にまで見たことだ。当社のクロスボーダー人民元決済はアジアに集中しており、範囲が狭い。多くの取引先は、人民元決済を受け入れていない。中国企業が人民元で決済できれば、国際決済と海外投資がより便利になり、レート変動によるリスク管理を促し、そのコストを引き下げることができる。長期的に見ると、人民元がSDR構成通貨になったあと、国際市場の人民元への信頼感が安定する。グローバル企業が海外で投融資を実施する際にも、力強いサポートが受けられるようになる」と予想した。
人民元がSDR構成通貨になることで、国際貿易のリスクが低下する。石油や化学肥料などの大口商品は現在、米ドルで価格設定され、決済されている。世界最大の大口商品輸入国である中国の国際貿易は、米ドルの制約を受けている。ドル高 元安になれば、輸入コストが高騰する。唐氏は「人民元は今後、世界で自由な使用と両替を維持することで、大口商品の価格設定の発言権を強化する。国際貿易を人民元建てで行うことで、関連する損失を大幅に減らすことができる」と述べた。
今後の課題
業界関係者は、人民元のSDR構成通貨入りと関連する改革は、全体的に見て中国と世界に対して大きな意義を持つとした。短期的なプラスの影響の他に、今後より深い影響が及ぶことになる。人民元の国際化に新たな活力を注ぎ、国内の改革開放をさらに促進するのだ。
専門家は、国際社会は今後より高い基準で、国際通貨としての責任という目で、中国の金融体制改革と対外開放を見るようになる。そのため人民元は構成通貨入りしただけで良いわけではなく、改革開放を推進し続けることで、人民元をより広く受け入れられる通貨にしなければならない。
例えばクロスボーダー貿易の利便性、自由な資本取引、金融市場の開放といった分野で、中国は米国や英国などその他の構成通貨発行国より遅れている。これは人民元がより広く使用され、準備通貨としての機能をより良く発揮する上での障害になる。丁氏は「中国は人民元資本取引の自由化を秩序正しく実現し、資本市場の双方向の開放を推進し、多層的な金融市場を発展させるべきだ」と提案した。
(チャイナネット)
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