9月8日は国際識字デーだ。福建省泉州市の1000年の歴史を持つ旧市街地、西街の横丁で1990年に生まれた呉彬彬氏は、十数平方メートルの「芥子書屋」の中で静かに本を整理していた。数人の固定客の他に、無料で本を貸し出すこの書店に訪れる人はほぼいない。中国新聞網が伝えた。
書店(実店舗)の低迷は公然たる事実となっている。泉州市だけでも昨年、大小さまざまな書店が200店舗以上も閉店となった。福建省のランドマークである「暁風書屋」のある店舗が数日前、密かに閉店の準備を始めたのをきっかけに、ネットで「書店を救わなければ」という風潮が巻き起こった。閉店が相次ぎ、書店は最も不景気な業界の一つになったかのようだ。
一般的な書店とは異なり、芥子書屋は当初より独自の路線を切り開いてきた。ここは無料で本を貸し出す書店で、店内にあるのは中古本の方が多い。呉氏は実店舗の「閉店宿命論」を信じておらず、「書店の未来の経営モデルは、主に空間づくりになる。紙の本は電子版と比べ、文化を大切にすることができる」と話した。
芥子書屋は2013年1月に正式に西街でオープンした。「本を1冊寄付すれば、書店内のすべての本をずっと無料で借りられる」という方法で、これまでに3万冊以上を集めている。
芥子書屋の会員数は800人以上で、8歳から80歳まで様々な年齢層の人がいる他、台湾地区やシンガポール、マレーシアなどの読者も少なくない。この書店は主に、文化サロンや読書会などの開催、それから飲み物や文化製品の販売により売上を得ている。
呉氏は「当店はまだ黒字化を実現していないが、経営を続けていきたい。経営を維持できているのは、メディアの宣伝のおかげだが、実店舗も理想的なモデルチェンジを実現できるはずだ」と話す。
暁風書屋の経営者、許志強氏も「暁風書屋の一部店舗の閉店は、店の条件に限りがあり、改築によるモデルチェンジが不可能だったためだ。現在は新華書店やファッションブランドと交渉し、書籍の種類と新たな経営モデルを追加する可能性がある」と話している。
国は書店への助成を強化し続けている。福建省は2015年に「福建省書店実店舗助成金」を設立した。呉氏らは政府が関心を強めるほか、多くの新型書店が登場することを願っている。
(人民網日本語版)
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