今年の日本ドラマは、世間を騒がせている話題を意識してか「不倫」をテーマとしたものが少なくない。しかし、さまざまな演出が許容され、優秀な制作スタッフを抱える有料放送のWOWOWがこのほど完成させたドラマ「賢者の愛」は似たようなテーマの作品とは異なり、これまでの概念を覆す全く新しい「不倫ドラマ」となっている。
日本文学に詳しい人なら、このドラマが作家・谷崎潤一郎氏の著名小説「痴人の愛」がモチーフになっていることがわかるだろう。同小説は会社員の譲治がカフェ店員のナオミに出会い、自分の理想通りの完璧な女性にゆっくりと育て上げていくというストーリーだ。「賢者の愛」も谷崎潤一郎氏の作品のように、微細にわたる描写でゆがんだ感情を表現している。
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