日本初の洗濯機を生産した電機大手の東芝、液晶パネルで世界的な信頼を得ているシャープ。この日本企業2社に、再びスポットライトが当たった。ところがこれは時代を画する成果によってではなく、業績不振で子会社を売却し株を手放すという苦境によってだ。
東芝は30日、白物家電事業を中国家電メーカーの美的集団に売却すると発表した。鴻海精密工業は同日、シャープの買収を発表した。時代をけん引してから苦境に陥るまでのわずか数十年間で、東芝は誇りとしていた白物家電事業の売却を余儀なくされ、シャープは初めて外資の傘下に置かれた日本電気大手となった。日本の老舗家電メーカーは、なぜこのような苦境に陥ったのだろうか?
根本的な原因を見ると、日本家電大手は大胆な変革と革新の勇気を持たなかったことで、衰退に陥ったと言える。かつてアジアの家電市場で半分のシェアを占めた日本家電メーカーは、自ら撤退するか、譲渡することによって消費者から離れていっている。
パナソニック、ソニー、日立など日本家電業界を代表する企業が近年、相次いで経営困難に陥っている。保守的な経営方針は、日本の家電業界の没落を決めた重要な要因だ。製品と技術の更新が続く今日、これまでの分野を守るだけで現状を変えようとしない日本企業は、過去の蓄えを食いつぶした後に、時代がすでに変わったことにはっと気がついた。しかし気づくのは遅すぎ、市場で後発者に対抗できなくなった。
煩瑣な業務構造により経営コストが増大し、市場シェアの低下により収益が縮小した。東芝は最終的に、非道徳的な粉飾決算に手を染めた。企業の信頼が大きく損なわれ、税引き前損益が大幅に引き下げられた。また日本の証券取引等監視委員会から巨額の罰金を課され、本業を手放し事業再編に取り組まざるを得なくなった。
また長期的に市場のトップに立っていた日本家電メーカーは、相手を侮り危機意識が欠けていた。日本の老舗家電メーカーは、中国と韓国の家電メーカーが台頭を続ける現状を即座に直視できず、王者としての地位に安んじ、消費者の争奪戦の中で徐々に不利になっていった。
そればかりではない。一部の日本企業には企業としての道徳心がなく、最近の業績悪化の原因になっている。日本経済新聞の中国語版は、液晶パネルによって一つの時代を築いたシャープが苦境に陥ったのは、大規模な投資の失敗、無能無策な取締役といった原因の他に、「企業道徳の欠如」と大きく関連していると指摘した。
しかし、日本家電メーカーには衰退の兆しが見えるが、先進的な技術といった競争力を持つと分析されている。日本企業の技術と品質へのこだわりは、外国企業の参考になる。また一部の日本家電メーカーは、最終消費者を争奪する市場の競争から撤退を余儀なくされたわけではなく、自ら市場から身を引きモデルチェンジを図り、より高い技術が必要で競争が激しくない業務用市場に転向し、ビジネスモデルの変化を求めている。日本の一部の老舗家電メーカーは、依然として市場の力強いライバルだ。
(チャイナネット)
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