台湾地区の鴻海集団は30日午後、取締役会が1株あたり88円でシャープが発行する新普通株を買収することを決定したと発表した。鴻海によると、2888億円を出資して普通株を買収するほか、999億9900万元で特別株も買収し、計3888億円でシャープの株式の半数以上を取得する計画だ。「京華時報」が伝えた。
シャープは2月25日に鴻海の買収提案を受け入れると発表し、買収金額は4890億円としていた。だが鴻海は正式調印前に突然、シャープから新たに提供された文書の中に、事業再編やリストラにより「偶発債務」3千億円が発生する可能性があると記されていたため、最終的な契約を保留し、シャープの当期業績を見直すと発表した。結局、買収金額は1千億元の減額となった。
鴻海は取締役会の決議として、1株88円でシャープの普通株を買収することを決定。さきに設定されていた118円の買収価格に比べ、25%の減額だ。
双方は来月2日に日本 大阪で契約に調印する。
シャープは2015年度は赤字を黒字に転換するとしていたが、液晶事業の持続的な低迷を受けて、同年度も引き続き巨額の損失を出す可能性が決めて高い。
家電の専門家 劉歩塵さんは、「鴻海は電子消費財専門の代理製造企業で、川上に位置する液晶パネルの需要は大きい。長年にわたり、鴻海はシャープと密接な提携関係を保ってきた。サムスンや日本のメーカーがシャープに戦いを挑んでいることを受けて、鴻海は今後は代理製造分野で発言権をもちたいと考えており、そのためにはシャープ買収が歩むべき一歩になることは間違いない」と話す。
鴻海集団はコンピューター、通信、電子消費財分野で世界最大の代理製造企業で、傘下の富士康は米アップル社のiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)の主要代理製造メーカーだ。鴻海は早くも2012年にシャープへの出資計画を模索し始めていた。
(人民網日本語版)
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