米国のケリー国務長官は2016年最初のアジア訪問で、ラオス、カンボジアと中国を訪問した。西側諸国のメディアはこれに注目し、南中国海問題は訪問の重点の一つとした。
メディアがこの問題に注目するのには理由がある。訪問前、カーター米国防長官はダボス会議において、「南中国海における中国の行動は自らを孤立させる」とし、他国に米国に救助を求めるよう呼びかけた。ケリー氏の日程について、ロイター通信などは「米国はASEAN諸国に南中国海問題において中国への共同対抗を促すだろう」とした。米国の官僚は、「ASEAN諸国が一致団結し海洋権益を守り、軍事化と衝突を避けることを希望する」と話した。
米国がこの問題についてしきりに声を出すのにはそれなりの動機があり、以下の目標があると考えられる。
一、南沙諸島における中国の正当な建設事業を妨げる。米国は南中国海の中国の主権と権益を無視し、島嶼建設を何度も指摘し、さらに「軍事化」の罪名を中国にかぶせ、建設停止を迫っている。
二、二国間交渉の形での問題解決を妨げる。中国が小国を「いじめている」ことを理由に、利益請求国との二国間交渉に米国は反対している。それと同時に、米国は南中国海の情勢を乱し、この問題を騒ぎ立てている。この問題をASEAN諸国が懸念することを利用し、ASEANがより積極的に参加し、「一致した声を出す」よう促そうとしている。また、米国は国際法を名目に、フィリピンの一方的な国際仲裁を応援している。米国は南中国海問題のASEAN化、国際化に発展する力となっている。
三、米軍の軍事行動の雰囲気を醸成する。昨年10月、中国の反対があるにもかかわらず、米国は軍艦を南沙諸島の周辺海域に派遣し、行動の常態化を宣言した。航行の自由を主張し行動を展開していたが、航行の自由に問題がない中で米国は中国の脅威を口実にするしかなかった。また、ASEANの「南中国海巡航」をそそのかす米国の行動も、仲間の数を増やし米軍の軍事行動を拡大させるためにほかならない。
しかし、米国の計算効果は思ったより遥かに低い。
中国の南中国海における主権と権益を支える歴史と法的根拠を米国は否定できず、中国の南沙諸島の建設を妨げることもできない。その挑発的な言動に対し、多くの国は米国こそが南中国海の不安定要素であり、米国が南中国海で「軍事化」という危険なプロセスを進めていることを認識するようになった。
多くのASEAN加盟国はこの問題をはっきりと認識しており、フィリピンを無原則に応援したりしない。米国の挑発に対し、カンボジアの副首相兼外務大臣は、「関係国はASEANの枠組み外で問題を解決すべきだ」と述べた。また中国も、「米国の官僚はASEANの代理人ではない」と冷静だ。
中米両国には、「衝突・対抗せず、相互尊重、協力・ウィンウィンの原則を守り、新型の大国関係を構築する」という共通認識がある。南中国海問題は中米関係の障害になってはいけない。(作者華益声氏は国際問題の専門家)
(チャイナネット)
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