中国ではどうして「爆買い」される便座が作れないのかと嘆息する人が少なくない。この問いに対し、松下電化住宅設備機器(杭州)有限公司の総経理である呉亮氏の回答は意外なものだった。同プロジェクトの管理チームと設計師には日本人スタッフもいた。その後、日本人スタッフは、日本の技術と製品は中国の水質に合わないため、日本に戻ったという。実は、2015年に世界で大流行した「爆買い」便座は、中国の技術スタッフが10年以上を掛けて研究開発したものだった。中心となる開発スタッフの平均年齢は35歳で、それぞれ龍泉、金華、杭州の出身である。典型的な理系男子だ。
「爆買い」便座は、中国の技術と中国の原材料を使っている。そして中国の設計、中国の生産である。資本とブランドが日本のものにすぎない。ではこれがどうして中国の製品に属さないのか。どうして単なる「メードインチャイナ」に過ぎないのか。我々に反省すべきことはないのだろうか。
記者は杭州松下工業パーク生産エリアに入ってみた。その規模は決して大きくないが、建物が整然と並んでいる。スマート便座とスマート炊飯器は、それぞれ7~8本の生産ラインで作られており、工員は300人余り。同社工場長の李建宏氏によると、便座の部品は大部分が浙江省周辺の工場で作られており、高品質の成型部品の50%以上が寧波で製造されている。安全性や技術性に対する要求が高度に高いキーデバイスだけが日本から輸入されている。最後に工場スタッフが組み立てを行う。
「2001年に会社が設立された当時、80%の部品が日本から買っていたが、今では20%に減少した。この数年、我々は完全な自主設計製品を売り出している。部品も自主生産だ。これは中国の製造能力が向上したことを意味している。メードインチャイナがメードインジャパンに劣るとは限らない。カギとなるのは管理だ」と、李建宏氏は語る。
生産管理に関し、同社は極めて優秀だ。総経理の呉亮氏はあるエピソードを教えてくれた。ある日のこと。作業が終わった後で、現場にねじが1本余っていることが分かった。
このとき、千件以上の商品がすでに運搬車に詰められ、発車するところだった。しかし生産ラインのスタッフが全ての運搬作業を停めさせ、全ての製品を車から降ろし、再度検査させた。長い残業を経て、不合格の製品を見つけた。これでやっとこの日の仕事が終わった。「確かに手間のかかることだったが、便座の市場的品質と名声を保証することができたのは、やはり価値のあることだった」と、呉氏は感慨深げに語る。市場で勝つためにはシステムと管理がとても重要なのだ。
同社で古くから働く技術スタッフは、「我々の会社は当初、日本の生産ラインを全て中国に移管させ、すべて日本の技術規格で生産を行っていた。しかしその後、このような生産方式で作られた製品は中国の使用環境に合わないことが分かった。松下はすぐにこれをやめ、中国国内で製品実験室を設立し、製品性能と顧客体験の2方面で実験を行ってきた」と話す。
中国は広大だ。各地域の水質も千差万別である。松下の技術スタッフは全国各地で水を集めて研究を行った。北京の四合院の井戸から水を汲んだこともある。工場で365日、不断に研究分析を続けた。各地の水質の特徴を研究し続けた。このような真摯な仕事を通じ、研究チームは難題を1つ1つ解決していったのだ。
(チャイナネット)
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