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TPPは、本当にすごいのか?
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2015-10-10 09:06:20 | チャイナネット | 編集: 谢艳

   環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)はアジア太平洋地域の経済一体化の試みとして、国際貿易の発展の新たな趨勢を示している。これは確かに、並々ならぬことである。しかしTPPは多くの地域自由貿易協定のうちの一つに過ぎず、実際には特に変わった影響を及ぼすわけではなく、過度に誇張する必要はない。

   TPPが国際貿易の成長を力強く促進することはない。米国や日本などの国は世界の重要な貿易国だが、TPPの多くの参加国は世界貿易において際立った地位を占めていない。全体的に見て、TPPが世界貿易にもたらす積極的な促進効果は限定的と言える。冷戦後の国際貿易の発展の経験から見ると、世界の貿易成長に対して重大な効果をもたらした出来事は、(1)1994年に終了したウルグアイ・ラウンドにおけるWTO設立の合意(2)中国の2001年のWTO加盟――の2件だ。この2件は統計的意義から、国際貿易額の急成長を力強くけん引し、世界経済とグローバル化の進展を推進した。TPPは一部のアジア太平洋諸国間の地域貿易協定に過ぎず、EUや中国といった世界の主要経済体が含まれず、国際貿易に及ぼす影響は自ずと限られている。

   TPPは既存・未来の地域経済・貿易構造を変えがたい。アジア太平洋地域の貿易の現状は、地域内の各経済体の地理的位置、資源的条件、経済水準、分業の状況など、多くの要素によって決められている。これらの要素は長期的かつ根本的なものだ。しかも市場と資本は最終的に、貿易と投資そのものの収益性を見なければならない。TPPが持たらすメリットが、既存の貿易・投資モデルの利益を上回らなければ、市場と資本は既存の貿易・投資モデルを続け、TPPにわざわざ追随することはない。アジア太平洋の既存の経済・貿易構造を見ると、中国は貿易・投資の中心の一つになっている。これは数十年に渡る世界経済の分業・変化によって、自ずと形成された。中国の実力の強化に伴い、アジア太平洋のバリューチェーンにおける地位が向上し、地域の経済関係を構築する力を絶えず強めている。TPPが大きな衝撃をもたらすことはない。

   TPPが貿易ルールに及ぼす影響は限定的だ。TPPの一部の参加国は、ルールの先進性を強調している。TPPの一部の規則、例えば労働基準、環境保護、知的財産権の保護などは、確かにその先進性を示している。しかしTPPの関連規則をよく読めば、その大多数が特に明らかな先進性を示していないことが分かる。例えばTPP参加国のビザ・衛生・防疫の措置、税関の手続き簡略化といった規定は、貿易の利便化を促進する互恵的措置に過ぎず、その他の国でも独自に実施できる。TPPはデジタル貿易の世界貿易における地位を強調しているが、中国を含む多くの貿易大国はこれをすでに充分に重視している。これはルール面のメリットを形成しない。

   一部の規則に斬新さがあったとしても、最も理想的な唯一の規則とは限らない。TPPは参加国間のすべての自由貿易協定の規則をTPP版に合わせるよう規定しておらず、むしろ「TPPはその他の参加国間に存在する国際貿易協定、WTOやその他の二国間・地域内の協定と共存できる」ことを確認している。これはTPP参加国が、その他の国との間にTPPとは一致しない、さらには食い違う貿易協定を締結できることを意味する。その他の規則を採用する貿易協定も、同じく高い将来性を持つことになる。

   また貿易ルールを見ると、TPPは参加国のみに適用される多国間規則にすぎない。現在と未来の国際貿易の主要ルールは、WTO規則だ。TPP参加国はこれをよく理解しており、そのため「WTOに悖る輸出入規制と関税を採用しないことに同意する」とし、貿易救済措置を講じる際にも「TPP参加国のWTO枠組み内の権利と義務に影響を及ぼさないこと」としている。これらはいずれも、TPP規則がWTO規則を基礎とし、その代わりにならないことを示している。(筆者:宋国友 上海大学シンクタンクアジア太平洋研究センター執行主任、復旦大学米国研究センター副主任)

 

(チャイナネット)

 

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新華網日本語

TPPは、本当にすごいのか?

新華網日本語 2015-10-10 09:06:20

   環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)はアジア太平洋地域の経済一体化の試みとして、国際貿易の発展の新たな趨勢を示している。これは確かに、並々ならぬことである。しかしTPPは多くの地域自由貿易協定のうちの一つに過ぎず、実際には特に変わった影響を及ぼすわけではなく、過度に誇張する必要はない。

   TPPが国際貿易の成長を力強く促進することはない。米国や日本などの国は世界の重要な貿易国だが、TPPの多くの参加国は世界貿易において際立った地位を占めていない。全体的に見て、TPPが世界貿易にもたらす積極的な促進効果は限定的と言える。冷戦後の国際貿易の発展の経験から見ると、世界の貿易成長に対して重大な効果をもたらした出来事は、(1)1994年に終了したウルグアイ・ラウンドにおけるWTO設立の合意(2)中国の2001年のWTO加盟――の2件だ。この2件は統計的意義から、国際貿易額の急成長を力強くけん引し、世界経済とグローバル化の進展を推進した。TPPは一部のアジア太平洋諸国間の地域貿易協定に過ぎず、EUや中国といった世界の主要経済体が含まれず、国際貿易に及ぼす影響は自ずと限られている。

   TPPは既存・未来の地域経済・貿易構造を変えがたい。アジア太平洋地域の貿易の現状は、地域内の各経済体の地理的位置、資源的条件、経済水準、分業の状況など、多くの要素によって決められている。これらの要素は長期的かつ根本的なものだ。しかも市場と資本は最終的に、貿易と投資そのものの収益性を見なければならない。TPPが持たらすメリットが、既存の貿易・投資モデルの利益を上回らなければ、市場と資本は既存の貿易・投資モデルを続け、TPPにわざわざ追随することはない。アジア太平洋の既存の経済・貿易構造を見ると、中国は貿易・投資の中心の一つになっている。これは数十年に渡る世界経済の分業・変化によって、自ずと形成された。中国の実力の強化に伴い、アジア太平洋のバリューチェーンにおける地位が向上し、地域の経済関係を構築する力を絶えず強めている。TPPが大きな衝撃をもたらすことはない。

   TPPが貿易ルールに及ぼす影響は限定的だ。TPPの一部の参加国は、ルールの先進性を強調している。TPPの一部の規則、例えば労働基準、環境保護、知的財産権の保護などは、確かにその先進性を示している。しかしTPPの関連規則をよく読めば、その大多数が特に明らかな先進性を示していないことが分かる。例えばTPP参加国のビザ・衛生・防疫の措置、税関の手続き簡略化といった規定は、貿易の利便化を促進する互恵的措置に過ぎず、その他の国でも独自に実施できる。TPPはデジタル貿易の世界貿易における地位を強調しているが、中国を含む多くの貿易大国はこれをすでに充分に重視している。これはルール面のメリットを形成しない。

   一部の規則に斬新さがあったとしても、最も理想的な唯一の規則とは限らない。TPPは参加国間のすべての自由貿易協定の規則をTPP版に合わせるよう規定しておらず、むしろ「TPPはその他の参加国間に存在する国際貿易協定、WTOやその他の二国間・地域内の協定と共存できる」ことを確認している。これはTPP参加国が、その他の国との間にTPPとは一致しない、さらには食い違う貿易協定を締結できることを意味する。その他の規則を採用する貿易協定も、同じく高い将来性を持つことになる。

   また貿易ルールを見ると、TPPは参加国のみに適用される多国間規則にすぎない。現在と未来の国際貿易の主要ルールは、WTO規則だ。TPP参加国はこれをよく理解しており、そのため「WTOに悖る輸出入規制と関税を採用しないことに同意する」とし、貿易救済措置を講じる際にも「TPP参加国のWTO枠組み内の権利と義務に影響を及ぼさないこと」としている。これらはいずれも、TPP規則がWTO規則を基礎とし、その代わりにならないことを示している。(筆者:宋国友 上海大学シンクタンクアジア太平洋研究センター執行主任、復旦大学米国研究センター副主任)

 

(チャイナネット)

 

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