6月3日に行われた「2015年光電子工学・材料・エネルギー国際シンポジウム」(iSOME-2015)において、世界トップクラスの材料学者であり、アメリカ芸術科学アカデミー会員の楊培東教授は、「将来的に太陽光、二酸化炭素、水だけで、自動車の燃料、高分子材料、薬品を作れるようになる」という有望な情報をもたらした。科技日報が伝えた。
楊教授が研究中のシステムの仕組みは植物の葉の光合成に類似している。光合成によって生まれるのは酸素と炭水化物だが、同システムからは酸素とその他の化学物質が生まれる。そのため「人工光合成システム」と呼ばれる。楊教授は、「半導体シリコンと触媒を用いた装置の中で、太陽光と二酸化炭素と水の反応により、自動車の燃料に用いることのできるブチルアルコール、高分子材料、薬品などの化学品を作ることができる」と話した。
楊教授によると、伝統的な化学品の原材料(石油など)はいずれも地下から得られる。楊教授が研究している人工光合成システムが用いる原材料(二酸化炭素)などは環境から集めることができ、現在の産業に革命的な影響をおよぼす。同システムによって作られた化学品(ブチルアルコールなど)は、自動車燃料に使用することで二酸化炭素と水を生む。こうすれば循環利用が可能で、汚染が生じることもほとんどない。車の運転や発電などによって生まれる二酸化炭素を濃縮することで、温室効果ガスを削減し、世界的な温暖化を和らげることもできる。
同システムのエネルギー変換効率はすでに0.4%に達している。楊教授は、「この効率は決して低くない。葉の光合成の変換効率は0.3%のみだ。今後は活性化剤を改良し、効率を2−3%に上げていく。5%に達すれば量産化が可能だ」と説明した。