【新華社ロンドン9月7日】中国重慶大学の研究者はこのほど、新しい手法により抗菌性物質の効率的な合成に成功した。既存の抗生物質より高い抗菌性があり、新しい抗生物質が開発できる可能性がある。研究成果は最新の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載された。
現在、世界中で薬剤耐性菌の問題が日増しに大きくなっており、新しい抗生物質の開発は差し迫った課題となっている。重慶大学薬学院の賀耘(が・うん)教授率いる研究チームが合成したのは、アルボマイシンという名の抗菌性物質だ。
アルボマイシンは土壌中のストレプトマイシン生産菌の代謝物から分離抽出された、強い抗菌性をもつ自然物である。発酵により生成し、アルボマイシンデルタ1、アルボマイシンデルタ2、アルボマイシンイプシロンの混合物として存在するため、これまでは分離精製することが難しかった。
研究グループは新たな方法により、アルボマイシンの3種の成分を効率的かつ短時間で合成することに成功した。測定データによると、アルボマイシンデルタ2には優れた抗菌性があり、シプロフロキサシンやバンコマイシン、ペニシリンなどの既存の抗生物質の抗菌性より優れていた。また、臨床分離株から検出された多剤耐性菌に対しても優れた抑制効果があった。
賀氏は新華社の取材に対し、動物実験での大量投与でも副作用は出ておらず、初期研究でアルボマイシンの安全性が証明されたと説明。今後は合成物質の安全性について研究を進めていく考えを示した。
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