【新華社東京7月20日】5年に及ぶ協議を経て、日本と欧州連合(EU)の首脳が17日、東京で経済連携協定(EPA)に署名した。保護貿易主義が台頭し、多角的貿易体制が試練に直面する今日の情勢の下、日欧EPAの署名は、双方が保護貿易主義を迎え撃ち、自由貿易を断固支持するという共通の願いを表し、双方の貿易と投資に積極的な働きをする。
▽世界最大級の自由貿易圏の誕生
EPAは今後、日本の国会と欧州議会の承認を経て発効する。双方は来年3月の英国のEU離脱までに法的手続きを完了することを目指している。
EUと日本の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の3割近くを占め、双方の貿易総額は世界全体の4割近くを占める。EPAの発効後、世界最大規模の自由貿易圏が誕生する。
EPAの発効後、日欧は直ちにあるいは段階的に、大部分の関税を撤廃する。日本は90%以上のEU製品の関税を撤廃し、EUは大部分の日本製品の関税を撤廃する。EUの農産物が低い関税で日本市場に進出し、日本の自動車や電子製品がEU市場での競争力を高める。EUは8年目に日本車の輸入関税を撤廃する。
日欧はまた、サービス市場を開放することで合意。特に金融サービスや電子商取引、通信、交通などの分野を開放する。EUは日本の政府調達に参入可能となり、比較的敏感な産業分野については移行期間を設ける。
専門家は、EPAが日欧の経済協力を強めるだけでなく、双方の安全や戦略などの面でも協調や協力を促進するとみている。
▽日欧の経済成長を牽引
日本政府の試算によると、EPAは日本の国内総生産(GDP)を1%押し上げ、国内で29万人の新規雇用を生むという。日本の茂木敏充経済再生相は、EPAが「日本経済の新しい成長エンジンとなる」と語った。
日本経済界もEPA署名を歓迎している。日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長は、経済に関するさまざまな不確定要素が増えている情勢の下、双方がEPAを署名したことは大きな成果であると強調。経済同友会の小林喜光代表幹事は、多角的貿易体制が試練に直面する今日の情勢の下、EPA署名は重要な意義を持つと述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭は、EPAによって双方が関税の大部分を撤廃することは、中小企業の輸出拡大に大いに資すると表明した。
EUにとって日本はアジア第二の貿易パートナーで、現在、EUから日本へのモノとサービスの年間輸出総額は800億ユーロ(1ユーロ=約131円)を上回り、EUでは60万人が対日輸出関連ビジネスに従事している。
EUの統計によると、EPA発効後、EU製品に対する関税は毎年約10億ユーロ減少し、EUから日本への輸出額は200億ユーロ増加するという。日本の医薬品や医療機器、農産物、自動車などの市場が、EUの企業に開放される。
▽多角的貿易体制の維持
日本とEUの首脳は17日に発表した共同声明で、EPAの署名は、歴史的な一歩であり、共に保護主義と戦うという力強いメッセージであると表明。日欧が協力して世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的自由貿易体制の維持に努めると強調した。
EPAに向けた協議は2013年から、関税、知的財産権、電子商取引ルールなど27分野に渡って行われてきた。協議は決して順調ではなく、主に日本の自動車とEUの農産物の関税低減・撤廃などについて意見が分かれていた。その間、EUは米国との大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)の協議に重点を置き、日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の協議に力を入れた。
トランプ米大統領の誕生後、米国の貿易政策は顕著な変化を示し、TPPから離脱しただけでなく、TTIPの協議も停滞している。米国は繰り返し保護主義的な貿易政策を打ち出しており、日本とEUも制裁対象となったため、日欧が互いに協力姿勢を強め、EPA締結に向けた協議が大幅に加速した。
EPA署名後に行われた共同記者会見では、日本の安倍晋三首相は、保護主義的な動きが広がる中、日欧双方が署名により自由貿易体制の重要性を改めて示したことは極めて大きな意義を持つと述べた。
トゥスク欧州理事会議長(EU大統領)は、EPAの署名は、日欧が共同で保護貿易主義に対抗するという重要なメッセージを外に向けて発信したと語った。
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