【新華社ブリュッセル7月20日】トランプ米大統領はこのほど、米CBSテレビのインタビューで、欧州連合(EU)を米国の「敵」と発言した。この発言は米欧間の貿易上の対立を指すものとはいえ「敵呼ばわり」は米国の伝統的な盟友を自負する欧州を驚愕させた。
トランプ氏の大統領就任以来、米欧は貿易や環境保護、安全保障、政治の面で騒動が絶えない。トランプ氏は先月、主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の首脳宣言の採択を拒否した。また、先ごろ開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(サミット)では、脅しや皮肉を交えてNATOに加盟する欧州諸国に国防支出の拡大を要求し、米欧の対立は再び世論の注目を浴びた。
米欧には今、明らかに「共通言語」が不足しており、議題においても双方の重点がかみ合っていない。トランプ氏は防衛費負担の不均衡や対欧貿易赤字などの具体的なテーマで議論をすることを一貫して譲らないが、欧州は国際的な責任の共同分担や外部からの脅威への一致団結した対応などの議題をより重視している。
問題を掘り下げれば、米欧の対立の根源はトランプ政権が「米国優先」に固執し、多国間主義に関心を示さなくなったことにある。気候変動に関する国際的枠組み「パリ協定」やイラン核合意からの離脱に始まり、国連人権理事会などの国際枠組みからの離脱に至るまで、また「NATO時代遅れ論」から前回のG7サミットでの「途中退場」まで、トランプ氏の「我が道を行く」行動には「米国優先」のロジックがあり、多国間体制が米国の利益の最大化を損なうという考えがある。
トランプ氏の交渉に臨む姿勢も欧州に不安を与えている。トランプ氏は国内の反対を無視しロシアのプーチン大統領とフィンランドの首都ヘルシンキで会談を行った。これは欧州に緊張と不安をもたらし、米露の接近が欧州の利益を損なうとの懸念を抱かせた。
いかに矛盾や敵意があろうと、米欧は完全に仲たがいをした訳ではない。複雑に絡み合った長期にわたる盟友関係が一時的な軋轢で完全に破たんすることはあり得ない。NATOのストルテンベルグ事務総長が語ったように、米国は欧州を必要とし、欧州もまた米国を必要としている。米欧の関係が簡単には瓦解しないことは想像に難くないが、米欧の離反を促す「促進剤」の熟成を許すような事態が続ければ、数十年来の緊密な盟友関係といえども、ある程度の「変化」が生じることは決してあり得ないことではないだろう。
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