【新華社昆明6月27日】中国雲南省昭通市綏江県でこのほど、南岸墓地の発掘調査を行う考古チームが、元・明時代の「八連墓室」を発見した。中国国内で同様の墓が見つかるケースは稀だという。墓の発見は、雲南省北東部における元・明時代の歴史文化研究に新たな実物資料をもたらした。
南岸墓地は同県南岸鎮内に位置する。墓地分布エリアの地表からは10基あまりの墳墓が確認でき、その多くは墓門が2つある。市の文物管理所はこのほど、省文物考古研究所などと合同で墓地の系統的な発掘調査を行った。
文物管理所の余騰松所長によれば、調査は1500平方メートル前後の区画で行われ、古墓11基を発掘した。墓はいずれも石室構造で、墓室の数によって単室墓、双室墓、三室墓、五室墓などに分類され、最も多いものは八室墓だった。墓室同士はつながっており、独立した両開きの石門が設けられていた。墓の頂部は半円頂、覆斗(四角形で上に行くにしたがって面積が狭くなる)頂、平頂など数種類見られたという。
また、石室墓のほとんどは、細長い大きな石を積み重ねる方法で築かれており、石材は四角く整い、角もはっきりしている。調査では上質の青石が用いられていることが判明した。多くの墓室内には、技術、デザインともに優れた人物や花などの彫刻があり、さらに、一部の墓には頭龕(死者の頭部方向の壁をくぼめて作った、副葬品を供えるための場所)も見つかった。
南岸鎮は古くから四川省南部と雲南省北東部を結ぶ交通の要所として知られる。墓地からは陶磁器や金属器20点あまりが出土しており、うち醤釉の罐(壺)は、造形と釉薬の色が四川省南部の楽山西壩窯遺跡のものと基本的に一致しており、墳墓の時代を知る手掛かりとなった。
専門家によれば、同墓地は文化財と考古学の両面で高い価値を持つという。特に八連墓室の発見は、当時の経済の繁栄、物資の豊かさの側面を映し出すものだという。今後の研究で、雲南省北東部における元・明時代の社会生活がさらに明らかにされることが望まれる。(記者/許万虎)
当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。
推薦記事: