米メディアは先ごろ、米国が気候政策を転換するなか、中国が全国的な炭素排出量取引市場を設立していると報じた。
米『サイエンティフィック アメリカン』ウェブサイトは8月14日、中国の官僚が、今年後半に全国の約4分の1の工業二酸化炭素を網羅する排出量取引市場の開設を準備していると紹介。EUやオーストラリア、米カリフォルニアの官僚と非営利組織がこの計画の設計について中国人へアドバイスをしていると伝えた。
非収益性団体リソース フォー ザ フューチャーの客員研究員で、これまで市場の発展をみてきたジェレミ シラフェス氏は、「最初は、カリフォルニア州や地域温室効果ガス排出削減行動計画、さらには試験計画ほど整ったものにはならないだろう」と話す。地域温室効果ガス排出削減行動計画は、米国東北部の9つの州が取り組んでいる。
中国マクロ経済計画機関の国家発展改革委員会は、排出量取引が11月に全国市場として始まるとの見通しを示している。ただ、現時点では、企業が即座に炭素排出のために炭素排出枠を購入しなければならないのか、あるいは企業に排出状況報告を求めるなどのやや軽い監督管理形式を採用するかは決まっていないという。
報道によると、中国はEUやオーストラリア、英国、ドイツ、ノルウェーなどの国やカリフォルニア州の官僚と試験計画をめぐり協力してきた。この計画は2013年から7つの省 市で進められ、設計には異なる点がある。上海復旦大学 経済学教授の張忠祥氏が2015年に発表したレポートによると、試験計画は、企業2000社と毎年12億トンの二酸化炭素に関連し、その規模は、中国の年間二酸化炭素排出量の約8分の1に相当する。
全国システムの規模は現行計画の4倍となる見込み。スタンフォード大学の経済学者、ラリー グアルダ氏は、「現在確認されている施設の二酸化炭素排出量をみると、その規模は現行計画の4倍で、世界最大の総量規制 取引システムになる」との見解を示した。
世界には大量の排出削減をもたらした炭素排出量取引システムがまだない。さまざまな要因で、EU、米国、東北部のカリフォルニア州の総量限度枠は実際の排出量を大きく上回り、企業は高い代価を払う必要がないため、排出の大きなインセンティブが抑えられている。
中国の計画も少なくとも当初は、同じように実際の排出削減と連動することが難しいかもしれない。
シラフェス氏は、「同計画が成功するか否かは間違いなく重大な意義を持つ。もし中国の二酸化炭素排出量取引計画が成功したとみなされれば、他国が排出量取引モデルを信頼し、気候に関する約束がさらに厳しいものになるだろう」と述べた。
(チャイナネット)
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