売却が予定されている東芝の半導体業務をめぐって、新たな競争者が現れた。メディア報道によると、鴻海精密(フォックスコン親会社)董事長の郭台銘氏はこのほど、同社がアップルとアマゾンと手を組み、東芝のメモリ業務の競争入札に参加することを明らかにした。提示額は約182億ドルとなる。
この情報によると、鴻海精密の提示額は現在、東芝メモリ業務の買収の意欲を示している5組のうち最高となっている。ほかの4組はそれぞれ、米チップメーカーのブロードコム、米国のKKRグループ、ウェスタン デジタル、入札に共同参加する韓国のSKハイニックスと米国のベインキャピタルだ。
東芝が売却を予定するメモリ業務は、東芝全体で唯一利益を出している部門。東芝のNAND型フラッシュメモリは幅広く応用され、スマートフォンやコンピューター、サーバーなどの電子設備の重要な部品となっている。
東芝半導体業務の入札参加について、郭台銘氏は、アップルとアマゾンが資本参加を計画しているとしたが、出資比率は明らかにしなかった。「アップルとアマゾンはいずれも資金を提供するが、それぞれの企業が投じる資金の額を明かすことはできない」。フォックスコンの半分以上の収入は、アップルへの小型部品と構成部品の提供を由来としている。フォックスコンはさらに、アマゾン向けに電子書籍端末KindleとスピーカーEchoを生産している。東芝は、アップルのiPhoneの主要なサプライヤーだ。アマゾンも、データセンターのサーバーにNANDフラッシュメモリを使い、社内と外部の顧客にクラウドコンピューティングサービスを提供している。
『日経アジアンレビュー』によると、アップルとアマゾンのメモリチップ業務への進出は、サムスン電子が主導的な地位を占めている業界の状況を大きく変えるものとなる可能性がある。リサーチ会社のTrendForceのデータによると、サムスン電子は2017年第1四半期、NANDフラッシュメモリ業務で42.1億ドルの収入を獲得し、世界市場のシェアは35.4%に達している。ウェスタン デジタルと東芝はこれに続き、世界市場のシェアはそれぞれ17.9%と16.5%となっている。サムスンは同時に、世界のスマートフォン市場におけるアップルの主要な競争相手の一つでもある。
(チャイナネット)
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