中国の金融当局はこのほど、『製造強国建設向け金融支援に関する指導的意見』(以下、『意見』という)を通達した。
中国人民銀行(中央銀行)、中国工業情報化部(工信部)、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)、中国証券監督管理委員会(証監会)、中国保険監督管理委員会(保監会)の5当局が共同で通達したもので、『意見』では、製造業の高度化を目指す10カ年計画「中国製造2025」に対する金融支援を重視し、継続的に改善を図るとの方針が示された。
製造業が振興する上での課題や痛点に焦点をあて、技術刷新やモデル転換、高度化の強化に向けた金融支援に注力するとしている。概要は次の通り。
◇製造強国の建設に向けた多元的な金融システムを積極的に整備し、各種銀行機関の差別化による優位性を存分に活かすことで、金融サービスのシナジー効果を生み出す。
◇先進的な製造業の資金調達事業部、技術関連の金融専門機関を設立し、専門性の高い、きめ細やかなサービスを提供する。
◇製造業企業グループの金融会社を育成し、サプライチェーン ファイナンスを試験的に展開させる。
◇製造業分野のファイナンスリース業務を早急に振興させ、メーカーの設備の更新や改良および製品販売を支援する。
『意見』では、製造業の特徴に合わせた貸出管理体制と金融商品システムを刷新すべきだとして、次のように強調した。
◇メーカーの技術力や人材、市場の先行きなどのソフト面を見極めたうえで、信用貸付や知的財産権担保融資などを運用して、メーカーの資金需要に積極的に応える。
◇サプライチェーン ファイナンスの金融商品やサービスの振興を注力し、サプライチェーンの上流 下流企業の資金調達需要を満たす。
◇投融資連動業務の試行を着実かつ秩序立てて推進し、技術イノベーション型メーカー向けに有効な資金支援を提供する。
◇合併再編向け融資サービスを整備し、企業が合併再編によって業界統合を実現できるよう支援する。
また、『意見』では、多層的な資本市場の発展に注力し、製造業のモデル転換と高度化に向けた資金支援を強化する方針を明らかにした。
ハイテクメーカーや先進的メーカーの上場や開業に向けた融資を推進し、先進製造業と戦略的新興産業の特徴に合わせた革新的な債券を開発し、製造業分野の貸出債権の証券化を支援するとしている。
製造業の振興を促進する保険商品を積極的に開発し、保険資金による製造業分野への投資を拡大するとしたほか、政策面でもこれに合わせた支援を行う方針を示した。
(チャイナネット)
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