鄭州大学機械工学学部で工業デザインを専攻する林昌坤さんは大学1年生のころ、仲間と山間部の公益活動に参加した際に、山間部の多くの子供が昼食に温かいご飯を食べられないことを知った。林さんは彼らを支援するため、「Warm再加熱弁当箱」をデザインし、世界で最も権威のあるデザイン賞「iFデザイン賞」を受賞した。人民網が伝えた。
林さんは「貧しいため、多くの山間部の学校には加熱 保温設備がなく、子供たちは温かいご飯を食べられない。子供たちは成長期で、美味しいご飯が食べられなければ健康と成長に大きな悪影響が生じる」と述べた。
林さんは多方面にわたってリサーチや調査研究、実地調査を行い、最終的にこの弁当箱をデザインした。外観は普通の弁当箱と変わらないが、加熱モジュールが内蔵されている。その側面には、弁当箱の外部のボタンとつながる鉄板がある。ボタンを押すと、弁当箱内の加熱モジュールが熱を放出し、ご飯を温める。
「加熱モジュールの材料はポリエステル、アルミ箔、錫箔だ。最大の見所は、モジュール内に充填されている、発熱に用いられる化学物質の無水酢酸ナトリウムだ」
林さんによると、観光地などで売られている加熱型の弁当には酸化カルシウムと水による発熱作用が利用されているほか、USBポートで充電できるタイプの加熱弁当箱も一般に売られているが、コストが高いか、使用するための環境条件の要求があり、山間部の子供には適していない。無水酢酸ナトリウムを選んだのは、圧力により相転移を起こしやすい特徴があるからだ。「相転移とは物質が外部の気温、圧力、磁場などの持続的な変化を受けた際に、別の状態に変わることを指す。この弁当箱のボタンを押すと、鉄板が内側に凹み、無水酢酸ナトリウムが圧力を受ける。圧力が大きくなれば相転移を起こし、液体から固体へと変化し、熱を放出しご飯を温める。加熱モジュールの無水酢酸ナトリウムの量を調整することで、放出する熱を調整できる」
林さんは「使用後、加熱モジュールをお湯の中に入れ、固体から液体にすれば、再利用できる。一般的な鉄粉や炭酸カルシウムのような熱材料と比べ、無水酢酸ナトリウムには再利用可能というのが最大のメリット。高効率で省エネで、しかも低価格だ。この弁当箱1つのコストは10元(約162円)未満だ」と説明した。
(人民網日本語版)
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