その部屋は旅行代理店の担当者らで埋まっていた。彼らは皆、中国の旅行者をあまり親しみのない目的地へと引きつけるという重任を負っていた。フィリピンへである。パラワン島の真っ白な砂浜と青い海の写真に、彼らもこれは行けるとうなずいた。だがフィリピン側の役人が、テーブルと椅子だけで誰もおらず、食べ物の影も見えないレストランの写真を見せ始めると、代理店担当者はざわざわし始め、互いに顔を見合わせた。米国の旅行情報サイト「skift」がこのほど伝えた。
「中国人観光客にとっては、食品は考慮すべき非常に重要な事項だ。ホテルズドットコムの最近の調査によると、飲食は、中国の観光客が旅行目的地を決める際、安全と景色に次ぐ3番目に重要な事項となっている。優先順位はショッピングよりも高い」。中国のラグジュアリー消費のトレンドに注目するメディア「Jing Daily」の編集長を務めるLiz Flora氏は語る。「例えば海鮮と新鮮な果物は、熱帯地域が中国人観光客を引きつける重要なセールスポイントとなる。バリ島のあるリゾートの代表によると、現地の子豚の丸焼きを食べることが中国人観光客の同島での最も重要な活動の一つとなっている」
中国の年間海外旅行者はすでに延べ1億人を突破し、2020年には延べ2億人になると予想される。中国人旅行者を迎えたい観光目的地にとっては、飲食に対する彼らの需要を満たすことが極めて重要な意義を持つ。「選り好みが激しい」。米国の旅行代理店「Naturenuts Adventure Travel」のマーケティング担当責任者のMeijin Chen氏は語る。「彼らが好きなのは中華料理だけだ。現地の食品も一日か二日は食べるが、その後は必ず、中華を食べたいとなる」。同氏によると、そのためには旅行者一人につき、一日60、70ドル多く支払う必要がある。中華料理の供給を確保するためには、中華料理を提供するレストランから購入するか、中華の調理師を雇って旅行者と一緒に辺鄙な場所まで行かなければならない。
(チャイナネット)
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