ブラジルのコンサルタント企業TTRの最新統計によると、今年第3四半期のブラジル5大M&A(合併買収)のうち3件を中国企業が手がけた。ブラジルへの海外直接投資はここ数年にわたって急拡大を続け、なかでも中国が中心的な担い手となっている。ブラジル中国研究センターのロニー リンス主任は記者の取材に対し、海外M&Aという高レベルで国際分業 協力に関与する対外開放のやり方は、中国国内の経済モデル転換 高度化や、ブラジルの国際収支バランスの改善に重大な意義を持ち、新たな情勢のもとで中国とブラジル両国の経済 貿易協力を深めるウインウインにつながる動きと言えると答えた。
ブラジルでは大幅な通貨安、景気後退、政局不安を背景に、ここ数年にわたり外資のM&Aブームが起こった。ブラジルの『バロー エコノミコ』によると、2015年の外資によるM&Aは398件に上り、ブラジル全体の50%以上を占め、12年ぶりにブラジル国内投資家によるM&A件数を上回った。
中国企業のM&Aを通じたブラジルへの直接投資は10年以上にわたり拡大している。2005-2008年に中国が関与したM&Aは当時の外資M&A合計金額の0.1%に過ぎなかった。2009-2012年にこの割合は16.1%となり、金額にして215億米ドルに上った。2013年以降は質と量がいずれも拡大。中国企業は2015年に40億米ドルのM&A案件を発表し、米国を上回りブラジルの資産を買収する最大の投資家となった。
産業別で、中国企業によるM&Aは、ブラジルの電力産業からその他産業へと広がっている。リンス主任は、今後中国のM&AがIT、生物医学、交通運輸などに広がり、単純な「資源物色」から、それをベースとした先端技術、マネジメント経験、ブランド、クロスボーダー市場シェアなどの確保に力を注ぐことになるとの見方を示した。
M&Aの手法別では、中国企業による株式買収の割合が上がった。今年のM&A取引事例をみると、買収側と売却側は対象企業の継続収益と投資価値に強く注目している。中国国家電網公司は2度の買収を通じ、ブラジルの電力供給企業、CFPLエネルギーに対する持株比率を23%から52.4%に引き上げた。最近では、三峡国際エネルギー投資集団が12億米ドル(債務含む)で米デューク エナジーのブラジル会社の全株式を買収すると発表。取引完了後に、三峡集団のブラジルでの発電容量(持分含む)は827万キロワットに上る見通しだ。
地域別でみると、ブラジルでのM&A拡大は、中国による海外M&Aの均衡化につながる。中国企業は世界中の主要経済国でM&Aを行っているが、これまでは米国、ドイツ、英国、イタリア、カナダなど先進国がメインだった。ブラジルでのM&A拡大で、発展途上国だけでなく、南半球の国家もM&Aの対象地域となり、中国企業が経営目標とするグローバル化を進めることになる。
(チャイナネット)
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