英国政府はこのほど、中国・フランス企業が共同出資で建設するヒンクリーポイントC原子力発電所の建設計画を正式に承認した。中国側出資企業の国有原発大手の中国広核集団(本社:広東省深セン市)は、「原発の建設運営に関する30年の豊富な経験を活かし、英国の低炭素エネルギー需要に応えたい」としている。
「英国政府が同原発プロジェクトを承認したことは非常に喜ばしい。我々は戦略的パートナーであるフランス電力(EDF)と協力し、計画に基づきヒンクリーポイント、サイズウェル、ブラッドウェルの関連原発プロジェクトを推進。英国に安全で信頼できる、持続可能な低炭素エネルギーを供給する」と、中国広核集団(中広核)の黄暁飛スポークスマンは語った。
業界関係者は、「同プロジェクトは紆余曲折があったものの、最終的には市場予想よりも早く決着した」と指摘。「これは英国の原発建設推進の条件が整ったことを示すだけでなく、中広核に代表される中国の原発企業が初めて先進国市場に正式参入し、中国の原発が歴史的なブレークスルーを実現したことを意味する」との見方を示した。
ヒンクリー・ポイントC原発の総投資額は180億ポンド(1590億元相当)、英国が20年ぶりに新規建設を許可した原発プロジェクトで、フランス電力(EDF)と中広核が共同出資で建設する。中国企業の投資額は60億ポンドに上る見込み。同原発にはEDFが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)が採用され、完成後は英国の電力供給全体の7%を担う見通しだ。
中仏両国はヒンクリー・ポイントCプロジェクトの建設に続き、サイズウェルC、ブラッドウェルBの2大原発プロジェクトを共同推進する計画だ。ブラッドウェルBプロジェクトには、中国の国産第三世代原子炉「華龍1号」の技術が採用される予定。このため、ヒンクリー・ポイントCプロジェクトは、中国の原発産業が欧州、世界の先進国市場へ参入するための重要な「足がかり」になると見られている。
「英国の原発建設の向こう側には、世界の広大な原発市場が広がっている。国際原子力機関(IAEA)などの予測では、世界の原発需要は全部で200基を越える見通しで、頭角を現してきた中国の原発企業には成長の余地がある」と、中広核国際協力開発部の楊茂春総経理は語る。
中広核の関係者によると、同社とEDFとの協力は30年以上に渡っており、これが英国での3大原発プロジェクト推進の強固な基盤となった。2007年11月に中広核はEDFとグローバルパートナーシップ協議を結び、国内外の原発投資と支援、技術開発などで協力を進めている。
現時点で、タイ、インドネシア、ケニア、南アフリカ、トルコ、カザフスタンなどが中国の「華龍1号」に興味を示している。黄暁飛氏は「英国の原発プロジェクトの進展は、その1つ1つが中広核の国際市場開拓にとって良好なモデルとなるほか、新興国の『華龍1号』に対する技術面での信頼感も高まる」としている。
(チャイナネット)
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