新華網ベルリン9月19日(新華社記者/唐志強)2013年にスタートした『環大西洋貿易投資パートナーシップ』(TTIP)をめぐる交渉は、10月に第15ラウンドに入る。近年、ドイツ各地で繰り返し発生している大規模な抗議活動は、米国と欧州双方の長期に及ぶ自由貿易交渉の民意基盤が不十分で、交渉の先行きが不透明であることを表わしている。
構想に照らして、TTIPが一旦締結されれば、米国と欧州は世界最大の自由貿易区になり、世界の約40%の経済生産及び50%の貿易活動をカバーする。欧州のビジネス界と経済界はこれを歓迎し、この協定は貿易コストを低下させ、就業の機会を創設し、経済成長を促進するためにプラスになると受け止めている。
一方で、これらのビジョンは民意の支持を得ていない。ドイツ、英国、スペイン、イタリアなどの国で、民衆は何度も街頭で抗議活動を行っていた。
環境保護機関、消費者保護団体、労働組合を代表とする反対者は米国との自由貿易協定を締結すると、欧州の環境保護及び食品保護基準が引き下げられ、消費者の権利擁護にデメリットをもたらし、さらには現地の就業の機会が流失することを懸念している。また、TTIP仲裁メカニズムによって、多国籍の民間企業が本国政府の政策を覆す、交渉のプロセスが不透明などの問題が生じる可能性があり、欧州諸国の民衆に強い不安感を抱かせている。
早期に実施された調査で、ドイツ人のTTIPへの支持率は近年、低下し続けており、現在はわずか2割のドイツ人が米国との自由貿易協定締結を支持するだけで、3分の1のドイツ人はTTIPに完全に反対していることがわかった。
アナリストはドイツで来年に議会選挙が行われ、賛否両論のあるTTIPは各党派が選挙期間中に論争を繰り広げる焦点になる可能性が高いと分析する。ドイツの大連立政権はこの問題について、意見が分かれているという。
フランスのマティアス・フェクル貿易・観光振興・在外フランス人担当大臣はより直接に次のように述べた。交渉のプロセスが不透明であるため、フランスは9月末に開催されるEU対外貿易担当大臣会議でこの交渉の「完全で、簡潔で、徹底した完了」を要求した後に、「より良い基盤の上で」交渉を再開する。
(新華社より)
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