(写真はネットより)
「新写実主義」で描かれている庶民生活
勿論、李宝莉の悲劇は風水のせいではなく、いろいろな原因がある。
まず、彼女自身の性格が問題である。いわゆる「刀子嘴豆腐心」(口は悪いが心はやさしい)の典型で、運命を信じなく気が高い反面、譲ることが分からない。
次に、都市出身の李宝莉と農村部生まれの夫の考え方が違う。二人とも相手の一番ほしいものが分からない。出身が違っている二人が家庭を組み合うことも、都市化の進んでいる中国でよく見られることである。
最後に、「自分の生活を捨てても子供のために頑張る」という奉仕精神が一世代の中国人の信条である。李宝莉もその中の一人。ただし、一方的に自分の意志を押し付け、心の交流を無視し、かえって子供を傷つける。
李宝莉個人の悲劇に注目し、全民族の生活を描くのは、監督・王競(ワン・ジン)が一貫して唱えている「新写実主義」。中国の庶民の生活と精神を知りたいなら、ぜひ、この映画を観よう。
「万丈光芒」の顔丙燕
この映画は顔丙燕一人の映画と言っても過言ではない。素晴らしい演技で「女神」と呼ばれるほど偉い出演だった。
顔丙燕は金鷹賞(テレビ・アカデミー最高賞)と金鶏賞(映画・アカデミー最高賞)の最優秀女優の受賞者、李宝莉と全く違う、とても知性のある女性である。でも、顔丙燕が言語・体・目・呼吸・手の震え・歩く姿・後ろ姿、ひいては沈黙を運用して、100%の李宝莉と演じた。
「万箭穿心」を以て、顔丙燕はまた天壇賞(北京国際映画祭)と華表賞(政府賞)を受賞。彼女の出演の映画、逃してはいけない。
映画タイトル:万箭穿心(日本語タイトル:『風水』)
監督:王競(ワン・ジン)
キャスト:顔丙燕(イエン・ビンイエン)、焦剛(ジャオ・ガン)、陳剛(チン・ガン)
時間・ジャンル:118分/ドラマ・家庭
公開日:2012年11月16日(中国大陸)
(作者/于壮)
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