中国経済の成長ペースが徐々に鈍化するのにともない、中国経済はこれまでの常態から新常態(ニューノーマル)へと転換を始めた。中国経済のこうした質的な変化は、中国に進出した日本企業にとってチャンスでもあれば挑戦でもある。中国日報網が伝えた。
清華大学 野村総研中国研究センター(TNC)の松野豊理事はこのほど取材に答えた中で、「中国と日本の間には膨大な貿易取引量が存在し、中国の経済規模から考えて、その経済成長のペースダウンが日本企業に極めて大きな影響を与えるのは当たり前のことだ。特に中国の自動車、家電、電力、原材料などの各製造業が必要とする基礎部品や製造設備の需要が減少すると、日本経済にとっては大きな打撃だ」と述べた。
日本の経済は内需主導型で、輸出をはじめとする外需が占める割合は先進国の中で低い水準にある。だが松野理事は、「これは日本の国内総生産(GDP)だけをみた場合のことだ。日本企業は中国や東南アジア諸国で製品を製造し、できあがった製品を製造地から欧米などの先進国に輸出している。日本の対外純資産は世界一で、実際のところ、日本経済の経常赤字を支えてきたのは企業が海外事業で得た利益だ。そこで経済大国の中国で経済が減速し、落ち込めば、日本企業の海外事業も縮小することになり、また日本が中国や東南アジアに輸出する付加価値の高い部品の需要も減少することになる。よって中国経済が日本経済に与える影響は両国間の貿易関係だけで判断することはできない」と指摘した。
中国の経済構造はモデル転換しつつある。松野理事は、「中国の人件費の上昇と構造のモデル転換により外資系企業に変化が生じ、日本企業は製造拠点を中国から東南アジアなどに移している。そこで中国からの輸入の規模が縮小しつつある。中国の製造業の伸びが鈍化し、日本が中国に輸出する部品や生産資材も需要の減少が始まっている」と説明した。