卓袱料理
旅行にとって、ご当地の独特なグルメを楽しむことがその地にある文化や習慣を理解し、現地の人々の生活に近づくことができるというのが筆者の自論であるが、冒頭にも言ったように、長崎市は和中洋の文化が混ざり合う町であるため、その結果、食事文化にも影響を与えている。長崎ならでの食事と言ったら、卓袱料理である。大皿に盛られたコース料理を、円卓を囲んで味わう形式をもつ。和食、中華、洋食(主に出島に商館を構えたオランダ、すなわち阿蘭陀)の要素が互いに交じり合っていることから、和華蘭料理(わからんりょうり)とも評される。その料理はまさに、味が優しく、各国の料理の特徴を活かして融合する美食ともいえる。料理を順番に食べることによって、それぞれの味が衝突することがなく、むしろ相乗効果でおいしさが倍に感じられる。