今年初め、ハンガリーでタクシー運転手たちが大規模なストライキを敢行し、米国発ピアツーピアのカーシェアリング斡旋サービス ウーバーのハンガリーにおける急速な事業拡大に抗議するとともに、「ウーバーは禁止すべき」とのスローガンを叫んだ。こうしてタクシー運転手、ウーバー、政府の三つ巴のシーソーゲームが始まった。新華網が伝えた。
半年にわたる論争の結果、最終的に運転手たちが勝利を収めた。ハンガリー政府はこのほど、2018年以降はタクシーの営業許可証を取得した人しかウーバーの業務を行えないようにするとの通達を出した。
こうした政策上の引き締めを受けて、ウーバーは18日、ハンガリーにおけるすべての業務をしばらく停止すると発表した。これはウーバーのハンガリー市場撤退の可能性を示すものだ。
ウーバーは欧州で苦戦している。ハンガリーは業務を一時停止する初めての都市ではなく、これまでにもフランスで安価な配車サービス「ウーバーポップ」を一時停止にしている。
2014年6月、ロンドンの1千人を超えるタクシー運転手がウーバーのロンドン市場進出に抗議してストを行った。大まかな統計によると、ウーバーは英国、米国、スペイン、カナダ、中国などで抵抗に遭っている。
▽参考にしにくい日本モデル
ウーバーの登場によって、タクシー会社と運転手との間の伝統的なビジネスモデルがすっかり様変わりしてしまった。運転手は高額のライセンス費用と上納金に直面するだけでなく、ウーバーとの低価格競争の中、受注件数の持続的な減少の危機にも直面するようになった。
中国を含め、世界のタクシー管理システムは基本的に同じで、「ライセンス管理システム」が採用されており、運転手は営業ライセンスを購入するか借り受けなければ、タクシー事業に従事することはできない。都市のタクシー管理機関はライセンスの発行数を制限している。
米国サンフランシスコではタクシーのライセンス購入価格は税抜きで25万ドル(約2647万円)に上る。公共交通の管理当局はライセンスを1件販売するたびに、手数料として20%を徴収する。また5%がタクシー運転手の基金に払い込まれる。
フランスのパリでは、これらの費用が27万ドル(約2858万円)に達する。パリの運転手の多くは、ライセンスを取得するために10年間ローンを支払い続けるという。
ライセンスをもたないウーバーの運転手には自由な営業活動が認められており、タクシー運転手のようにさまざまな負担を引き受ける必要はない。
こうした利益のぶつかり合いの中、タクシー運転手達の不満がますます高まっていった。
日本のタクシーモデルは他国と異なる。日本の運転手達はなぜ、ウーバーや同じく配車サービスの滴滴出行に飯の種を奪われることを心配しないのだろうか。
日本のタクシーでは昔から個人経営が認められており、各地域のタクシー会社に対して参入制度が施行されることもなく、タクシー産業は完全に市場化されている。個人経営の運転手は、車両の購入費用やガソリン代などあらゆる費用が個人持ちになる。上納金はないが、運転手に対する要求は高く、年齢層ごとに要求は異なるものの、一般的に一般乗合旅客自動車運送事業で10年以上の運転手の経験があることが求められ、その他の事業での運転手の経歴は50%が加算される。また過去10年間に交通事故を起こしたことや交通ルールに違反したことがあってはならないとされる。こうした制度を中国に導入すれば、条件を満たす運転手はごく一部しかいないと考えられる。
日本のタクシーは企業による運営が主流だ。車両の購入、ガソリン、保険、駐車場などはすべて会社が負担し、運転手は一定期間の研修を経て社員となり、基本給が出るほか、毎月の出勤日数と出勤時間は固定されている。会社の保険などの福利厚生が受けられ、中国に比べて待遇はかなりよい。
このような手厚いサービスと厳格な職業参入制度があるため、日本のタクシー料金は高い。東京都では、2キロメートルまでの初乗り運賃が730円で、280メートル走るごとに80円が加算されるほか、1分45分ごとに90円が加算され、中国に比べると安いとはいえない。暮らしの中で人々がタクシーに乗る頻度は低く、これは主に公共交通が十分に発達しているためで、深夜や飛行場に急がなければならないなど特別な場合を除き、タクシーは割高になる。
日本には発達した公共交通網があり、タクシーは補完的な役割にとどまる。こうした情況の中、日本ではウーバーをはじめとする配車ソフトウェアへのニーズがそれほど高くない。
日本では自家用車に有償で客を乗せることは「白タク行為」と呼ばれ、「道路運送法」で禁止されているため、ウーバーは日本市場を開拓できずにいる。今年6月までに営業を許可されたのは京都府京丹後市だけで、この人口5560人のコミュニティでタクシーサービスを提供できるようになった。人口が少ないため、同市では8年前にタクシー会社が営業を取りやめている。
だが国情が違うため、日本モデルは他の国ではあまり参考にならない。
(人民網日本語版)
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