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2012年末に発足した第2次安倍内閣は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「三本の矢」とする経済政策「アベノミクス」を掲げ、長引く景気低迷からの脱却を目指してきたが、未だに期待されたほどの効果は出ていない。
アベノミクスは今も強力に推進されているが、政界はもとより経済界からも厳しい見方が出ていると専門家は分析する。金利が相次ぎ引き下げられ、企業は賃上げに踏み切れず債務も増加、長年貯めてきた資産がが増えるどころか、ますます目減りする可能性もあるからだ。
日本銀行は今年初め、マイナス金利政策の導入を発表した。もともとは円安誘導し、輸出を増やすのが狙いだったが、円相場は今年1月以降10%も上昇し、デフレから抜け出せないでいる。日本政府は景気刺激のため大量の国債を発行しており、国の債務残高はGDP(国内総生産)の250%にまで膨れ上がった。
政府と日銀は、円安による輸出拡大後の賃金引き上げに期待し、経済界に賃上げを要請したが、大手企業は経済の先行き不透明感は依然として払拭できておらず、企業マインドも改善していないとして、賃金に回すよりも巨額の現金を貯め込むほうを選んだ。
アベノミクスは経済界からの支持を得られないばかりか、与党自民党からも有権者からもそっぽを向かれている。
アベノミクスは、農業、エネルギー、医療の市場開放を進めるとともに、雇用の流動化、女性の労働参加 外国人労働者の受入を目指してきた。しかし、既得権益者らはこぞって反対。安倍政権は既存の勢力、特に自民党の大票田である農協の支持を失えば、選挙で敗北しかねないと危機感を抱いている。
政府のインフレを目標としたインフレターゲット政策は「間違った戦い」であり、量的金融緩和が最善策とは限らないとみる専門家もいる。また、日本のデフレは「1990年代初頭のバブル崩壊後の調整局面」、「高齢化の急速な進展」、「経済の先行き見通しに対するセンチメントの悪化」が3大要因であり、デフレは経済の弊害の結果であって原因ではなく、経済政策そのものが本末転倒だとする見方もある。
中には、デフレは決して百害あって一利なしというものではないとする見方もある。日本にとって喫緊の課題は、国民がかつての好景気の頃に貯め込んだ資産を維持することであり、物価の下落局面では預金の資産価値が上昇し、高齢者や固定収入のある層にとっては余裕をもった暮らしを送ることができる。みだりに量的緩和を運用し、政府支出を増やせば将来世代に大きな負担を残すだろうとしている。
野党民進党の岡田代表は先ごろ、メディアの取材に対し、日銀がマイナス金利を継続すれば、日本は「袋小路に入るだけ」と指摘。安倍政権の金融と財政に過度に依存した政策を批判し、「構造改革を疎かにしたアベノミクスに未来はない。暮らしは良くなっておらず、これ以上の期待はできない」と批判している。
(チャイナネット)
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