朝鮮半島植民地支配時代に日本に強制連行され、三菱重工業で強制労働させられていた韓国人被害者はこのほど、韓国人女優の宋慧喬(ソン・ヘギョ)さんに手紙で感謝の気持ちを伝えた。ソンさんが三菱自動車からの、CM出演の巨額のオファーを蹴ったからだ。この手紙が公開されると、多くの韓国人が共感し、ソンさんを「韓国の女神」と称賛した。
16日付韓国紙・国民日報によると、手紙を書いたのは楊錦徳(85)さん。1944年5月、楊さんと韓国の若者138人は騙され、三菱重工業の名古屋航空機製作所に連れてこられ、強制労働させられた。彼らはその後の18ヶ月に渡り虐待され、飢えに苦しみながら牛馬のごとくこき使われた。しかし賃金はまったく支払われなかった。
三菱自動車は今年3月、中華区のイメージキャラクターとしてソンさんにCM出演依頼を出していたが、拒否された。韓国日報によると、ソンさんの所属事務所は、「カネのために戦犯企業の宣伝を行い、イメージキャラクターになることはできない」ことを拒否の理由としている。
東條英機内閣は1942年11月、戦争を支援し国内の深刻な労働力不足問題を解消するため、「華人労務者 内地移入二関スル件」を閣議決定した。三菱側は2015年7月、日本政府が第二次大戦中に閣議決定に基づき、日本に強制連行した3万9000人の中国人労働者のうち、3765人を三菱マテリアルの前身である三菱鉱業とその下請け会社の事業所に受け入れて強制労働させたことを認めた。うち約720人が死亡し、「人権侵害の歴史的事実」をなした。三菱は「謝罪」し、基金形式で被害者1人当たり10万元の補償金を支払った。三菱重工業は中国侵略戦争期間中、旧日本軍の武器製造の主力だった。当時世界最大だった戦艦「武蔵」、最新の零式艦上戦闘機、および各種重戦車・軽戦車、歩兵戦闘車などを開発し、陸海空軍に軍需品を提供していた。
韓流スターによる日本企業のCM出演は、韓国で注目を集め、物議を醸している。韓国の女性アイドルユニットAOAは、最新アルバム「Good Luck」を発表した。そのMVは公開から数時間後、所属事務所によって削除された。これはオリジナル版MVに、日本の「戦犯企業」のブランドが登場したからだ。韓国メディアは本件を、三菱のCM出演依頼を蹴ったソンさんと比較した。韓国・聯合ニュースは、「修正版のMVで、トヨタやホンダなど日本自動車ブランドのロゴマークにモザイク処理が施された」と報じた。韓国人女優の高素英(コ・ソヨン)さんは昨年9月、日系金融グループ・Jトラストのイメージキャラクターになったことで、批判の渦中に立たされた。韓国メディアによると、女優の李英愛(イ・ヨンエ)さんが先に、同社のCM出演を拒否していたという。
(チャイナネット)
関連記事: