モルガン スタンレーのチーフエコノミストだったステファン ローチ氏も、「中国の経済成長は鈍化しているものの、失速しているわけではない」と述べた。IMF(国際通貨基金)が8月に発表した月次リポートで「中国の内需GDP(国内総生産)寄与度が初めて投資を上回った」との見解が示されたことに触れ、「重大な変化だ」と評価した。
ゴールドマン サックス証券のアジア太平洋地域事業会長を務めるマーク シュワルツ氏は、「中国の経済モデルの転換には10~20年を要する可能性がある」と予想。ただ、「年5~6%を下回らない成長さえ維持できれば、改革を推進する中国で毎年800万~1200万人の新規雇用が生まれる」との見解を示した。
中国日本大使館経済部参事官を務めていた津上俊哉氏は共同通信社への寄稿で、「中国経済が直ちに好転することは見込めず、これに対する心構えが必要だ」との見方を示した。一方で、「中国政府は強い力を持つ。中国経済が崩れ落ちる可能性はほぼない」と指摘。日本国内で、他人の災いを喜ぶような皮肉的な論調で中国経済の減速を煽る報道も存在するが、「世界に大きく影響する中国経済の問題が深刻化すれば、日本への影響も免れない」と警鐘を鳴らした。
エコノミストで北京大学の曹和平 教授は「環球時報」の取材に対し、「世界経済の減速において、一番厄介な問題は大国の間で協力姿勢が見られず、逆に互いの足を引っ張ることだ」と指摘した。「世界一の経済大国で、基軸通貨国の米国が、世界的な景気後退局面にあるなか、今年初めに利上げを示唆した。世界経済が米国の道連れになってしまう。中国が重要な貿易相手にもかかわらず、日本は中国を貶めたりする」と非難。その上、「世界経済の浮揚には、基軸通貨国の責任が大きい。中国に世論が矛先を向けるのは筋違いだ」と述べた。
(チャイナネット)
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