中国が世界2位の経済大国になり、先進国などの世界経済への影響が大きくなるにつれ、中国政府の一挙手一投足が注目されるようになっている。国際研究機関の中には、あと約10年で中国の経済規模が米国に並ぶという予測もある。中国の経済政策は、貿易相手国やアジア周辺諸国への影響があまりに大きいため、中国政府が発表する政策は瞬時に世界を駆け巡ることになる。中国は最近、経済政策のみならず、政治的な変化でも世界各国から注目されるようになった。
世界各国は、中国の国内事情にある程度理解しつつも、中国が世界経済や様々な政治?社会問題の解決にも大きな貢献をしてくれることを期待し始めた。中国が世界との関わりにおいて重要な貢献が求められているものは多くある。最近は世界規模で異常気象が観測されており、今後5-10年は地球環境にとっても正念場である。中国は、地球温暖化の原因となる温室効果ガス(CO2等)の削減、エネルギー利用の効率化などで主導的な役割が期待されている。中国が世界各国の発展のために貢献すべきことは、中国自身が考えている以上に多く存在している。
筆者は、未来5-10年の中国の世界貢献について、上記で上げたこと以外にさらに以下の3点を新たに提案したい。第一は、台頭する中国自身が体現している経済体制・政策の理論化・普遍化である。世界経済は2008年の金融危機により大きな混乱が起こった。金融危機に伴う混乱は、世界の実体経済に影響を与えただけでなく、世界がこれまで拠り所としてきた資本主義の経済・金融システムに対する信頼の揺らぎという、経済理論そのものにまで及んだ。特に先進国などの資本主義国家においては、金融システム手法の複雑化により、これまでの資本主義理論や政策に一定の限界が来たのではないかとの議論も巻き起こった。