工業・情報化部(工業・情報化省)はこのほど、通信販売事業を手がける企業における海外資本の持ち株比率の制限を取り払うことを決定し、これにより外資持ち株比率100%も可能になった。業界関係者によると、この政策は外資系通販企業が中国で事業を展開する上でメリットになる。「京華時報」が伝えた。
▽通販企業の外資持ち株比率100%が可能に
同部は今月19日、「オンラインデータ処理および取引処理事業(経営型通販事業)における海外資本の持ち株比率の制限を取り払うことに関する通告」を発表し、全国規模でオンラインデータ処理および取引処理事業を取り扱う企業の外資持ち株比率の制限を取り払うことを決定した。これにより、これまで50%が上限だった外資の持ち株比率が100%まで可能になった。
オンラインデータ処理および取引処理事業は、電気通信産業の付加価値事業の一つであり、付加価値電気通信事業の許可を政府に申請する必要があり、主に経営型通販事業を指している。同部は今年1月に同部が発表した通告で、中国(上海)自由貿易試験区の中でオンラインデータ処理・取引処理事業を取り扱う企業の外資持ち株比率の制限を試験的に取り払うことを決定しており、今回の決定はこれを全国に拡大したものだ。
調査会社・艾媒諮詢の張毅最高経営責任者(CEO)は、「経営型通販事業とは主に実物と現金が流通する取引プラットフォームを指し、アリババ(阿里巴巴)、京東、当当、聚美優日、唯品会などがこれにあたる。滴滴快的などのタクシー配車ソフトウエアは厳密な意味では経営型通販事業の分類には入らない」と話す。
▽国境を越えた通販で外資の強みが拡大
外資の持ち株比率制限を全面的に取り払ったことは、よりよい市場競争を実現し、通販事業の発展を促進する上でプラスになる。
早くから中国のインターネット企業に投資してきたのは外資系企業だったが、外資の投資モデルは国内ではICP(インターネットコンテンツプロバイダー)の営業許可証を取得することができなかった。これまでは中国の通販分野での外資の株式参入をめぐる制限を回避するため、外資系企業の投資を受け入れた電気通信企業、インターネット企業、メディア企業などの多くがVIE(変動持分事業体)構造を形成してきた。京東やアリババの場合、昨年はVIE構造を通じて海外上場を果たしている。この2大通販企業は国内では関連の許可証をもった事業経営の実態のある企業を設立し、それからケイマン諸島で持ち株会社を登録し、ケイマンの持ち株会社が合意を踏まえて国内の事業経営の実態のある企業をコントロールするという形を取る。米国で上場したのは、ケイマンで登録された持ち株会社であり、京東とアリババの米国の株主が保有するのはケイマン持ち株会社の株式だ。
通販アナリストの魯振旺さんは、「外資の株式出資比率の制限撤廃により、今後は外資系独資企業もICP許可証を申請できるようになり、外資系通販企業にとって大きなメリットになる。通販の外資開放政策の細則が実施されると、アマゾンをはじめとする海外資本が中国子会社への投資を増やし、より大きな市場開拓の可能性を手に入れることになる。現在、国内の通販事業は基本的に成熟しており、外資の持ち株比率の制限撤廃が通販市場全体の基本的な局面を変えることはあり得ない。国境を越えた通販の分野では、外資系通販企業はより大きな強みを獲得することになる」と述べる。
(人民網日本語版)
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